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★                Nature News  No.16 (1999/05/28発行)               ☆

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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇CONTENTS(目次)◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

◇  ■はじめに                                                        ◇

◇  ■ひとりごと:学校で学ぶということ その3                        ◇

◇  ■協力者募集:ジャノメチョウのサンプル固定、ルリタテハの卵        ◇

◇  ■イベント紹介:サンショウウオ定期調査(5月30日、美ヶ原)ほか     ◇

◇  ■新連載  パンパの鳥たち(8) 高木一夫                            ◇

◇  ■雑記蝶 (16):オオルリシジミ                                ◇

◇  ■新刊紹介                                                        ◇

◇  ■書籍紹介                                                        ◇

◇  ■くりえいとPEN:更新情報                                      ◇

◇  ■お知らせ                                                        ◇

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●Nature Newsは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』で発行さ

  れているメールマガジンに読者登録された方へ送付されます。

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■はじめに

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○Nature News は、読者のみなさんから寄せられたネーチャー関連の情報をお届

けする電子メールマガジンです。  (^^)/



○動物・鳥・昆虫・植物・花などの季節の情報、ネーチャー関連の本やホームペ

ージなどの紹介などのほか、エッセイなども掲載します。



○皆さまからの、情報提供、ご投稿をお待ちしています。

                     ・・・なければ、自分で書くだけです。。ハイ  (^_^;



○掲載は無料ですが、内容によってはご希望に添えない場合もありますので、予

めご了承ください。  m(__)m



○なお、お寄せ頂いた情報等は、くりえいとPENのホームページ

      http://www2h.biglobe.ne.jp/~pen/  等で

紹介させていただく場合があります。



○バックナンバーは、次のHPでご覧になれます。

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■ひとりごと

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○学校で学ぶということ その3



* 間違いは罪悪か?



 前回も少し指摘しましたが、多くの人は「テスト」ということばに恐怖心を抱

いているようです。特に学校の「テスト」は「怖いもの」「嫌なもの」の代表か

もしれません。その根底には「間違うことは悪いこと」で「悪い点をとると怒ら

れる」という恐怖心があるように思います。

 では、テストで間違うことは悪いことなのでしょうか? 答えは「NO」に決

まっています。テストは、本来、それまでに学習した内容を、自分がどれだけ理

解しているかを確認するために行うものだからです。テストで悪い点をとったか

らといって、それを出した先生が怒るような性格のものではないのです。そのテ

ストを受けた本人(生徒)が、「これはいけない」と思えば、次は同じ間違いを

繰り返さないような努力をすればよいし、「まあいいか」と納得したのなら、そ

のままにしておいたって構わない訳です。ただ、そのままにしておくと後から困

ることになるかもしれませんが、それは本人の責任です。先生や親は「後で困っ

たら君の責任だよ」という忠告はした方がいいとは思いますが、そこから先は生

徒(子供)に判断させるべきだと思います。子供が悪い点をとって来ると、キレ

てしまって叱りつける親もいますが、あれは百害あって一利なしだと思います。

 「子供にはそんな判断をする能力などない」という人もいますが、私はそうは

思いません。テストの出来が悪ければ、たいていの子供は落ち込んでいるのです。

それを叱りつけてどうなるというのでしょう。ますます落ち込んでいくだけです。

「テスト」は「怖いもの」へ変わっていくだけです。子供は子供なりに悩んだり、

考えたりしているのです。そして、悩みながら成長し、大人になっていくのです。

私も、そしてあなたもそうであったように。。。



**** P R ***************************************************************

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■協力者募集

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○ジャノメチョウ科のmt-DNAサンプル固定

 ミトコンドリアDNAをつかった日本のチョウの系統解析が始まっています。

 アゲハチョウ科に続いて、ジャノメチョウ科の解析もだいぶ進んでいますが、

 まだ一部のサンプルが入手できていません。特に、南西諸島や近隣諸国のジャ

 ノメチョウ類のサンプル固定に協力して下さるボランテイアを募集しています。

 興味のある方は、

   藤井 (e-mail: pen@japan-inter.net)

 まで、メールでご連絡下さい。この解析は信州大学などで行われる予定です。



○ルリタテハの卵

 生活史の比較研究用にルリタテハの卵が 100卵ほど必要です。入手のお手伝い

 をして下さる方、または卵を提供して下さる方がおられましたら、

   藤井(e-mail:  pen@japan-inter.net)

 までご連絡下さい。なお、この研究はストックホルム大学で行われます。



○京都府内の昆虫の採集データ

 京都府のレッドデータブックを作成のための調査を行っています。つきまして

 は、京都府内の昆虫の採集データを提供してくださる方(ボランテイア)を募

 集しています。お問い合せは、

   藤井(e-mail:  pen@japan-inter.net)

 までメールでお願いします。



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■イベント紹介

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○美ヶ原自然史研究会公開調査会:サンショウウオ定期調査

 長野県の美ヶ原を源流とする沢の源流部には、ハコネサンショウウオの産卵地

 として知られた場所があります。毎年ここを調査している研究会会員の調査・

 測定のようすを公開して、美ヶ原の自然に関心を持つ多くの方が自然をもっと

 詳しく知る方法の実際を見学する機会を設けられました。午前中にフィールド

 で捕獲したサンショウウオを測定・再放流するまでをご覧頂けます。また、こ

 のテーマの定期調査に今年度から参加を希望する方も募っています。



 日 時:1999年5月30日(日)13:00〜

 場 所:長野県美ヶ原自然保護センターレクチャールーム

 参加費:無料(ただし、交通費等は自己負担)

 申 込:前日までに電話で同センター

            (TEL:0263-31-2807・FAX:0263-31-2290)へ

 問合せ:長野県美ヶ原自然保護センター内・自然史研究会事務局担当:橋本



○第118回 日本鱗翅学会近畿支部例会

 日 時:1999年6月6日(日) 13:00〜17:00

 会 場:大阪市立自然史博物館(南側通用門からお入りください。)

 講 演:日本におけるチョウの山頂集中 (hilltopping)について・・柴谷篤弘

     アマゾンの蝶と生息地・・・・・・・・・・・・・・・・・村田泰隆

     日本産マガリガ科の分類の概要・・・・・・・・岡本 央・広渡俊哉

     インドネシア、東カリマンタンにおける森林火災後のチョウ相

                  ・・・・・・・・・広渡俊哉・槙原 寛

 交 通:地下鉄御堂筋線長居駅下車 徒歩10分



 一般の方(会員外)も参加できます。村田泰隆さんの講演では、アマゾンの蝶

 と生息地がたくさんのスライドで紹介されますので、ご来場をお待ちしていま

 す。なお、会場へは公共交通機関をご利用のうえ、お越しください。お車での

 来場はご遠慮ください。



○第20回SSP展:自然の中の不思議を知る

 私も所属しているSSP(日本自然科学写真協会)の写真展が下記の日程で開

 催されます。



 東京展 1999年6月11日(金) 〜6月17日(木)    富士フォトサロン東京

 大阪展 1999年7月16日(金) 〜7月22日(木)    富士フォトサロン大阪

     [7月21日は休館]

 福岡展 1999年7月30日(金) 〜8月11日(水)    富士フォトサロン福岡

 新潟展 1999年8月27日(金) 〜9月26日(日)    新潟県豊栄市

                           水の駅ビュー福島潟

 愛媛展 1999年10月 9日(土)〜11月7日 (日)   愛媛県総合科学博物館

 岐阜展 1999年12月11日(土)〜2000年1月9日(日) 岐阜県博物館



[東京展のご案内]

 会 場:富士フォトサロン/東京

     〒104-0061 東京都中央区銀座5-1 数寄屋橋センタ2F

     TEL:03-3571-9411 会場TEL:03-3571-0309

 日 時:1999年6月11日(月)〜17日(木) 10:00〜20:00(最終日14:00迄)

 交 通:JR有楽町駅下車

 

 20回目の開催を記念して、SSP創生期の会員23名による特別展も同時開催。

 1966年に佐渡で撮影されたトキの写真(岩合徳光さん撮影)をはじめ、気象、

 地形、風景、動植物、水中、顕微鏡など、自然や科学の様々な写真 117点が皆

 様のお越しをお待ちしています。なお、今回は会場で写真展カタログを販売す

 るほか、現在、作品を紹介するホームページも制作中です。SSPのホームペ

 ージが、公開されましたら、またご案内します。



○吉野魅惑体験フェステバル協賛イベント

 あなたもツチノコに会えるかも:ツチノコ共和国夏の旅 蛍の源平合戦



 主 催:ツチノコ共和国

 共 催:下北山スポ−ツ公園

 日 時:1999年6月12日(土)〜13日(日)

 宿泊場所:奈良県吉野郡下北山村池原 下北山スポーツ公園

      (キャンプ場コテージ・オートロッジほか)

 募集人員:50名

 会  費:大人13,000円、未成年8,000円、3歳未満の幼児は無料

 申し込み:奈良県吉野郡下北山村寺垣内 下北山村役場地域振興課

       e-mail: k_nozaki@d1.dion.ne.jp

         TEL:07468-6-0016

         FAX: 07468-6-0818

            なお、定員になり次第締め切ります。



 行事内容:

  6月12日

   13:30〜 受け付け(スポーツ公園キャンプ場センターハウス)

               オリエンテーリング

   14:30〜 ネイチャーゲームやコウモリ観察

   17:30〜 夕食 キャンプ場内バーベキュー場

        初めての参加者にパスポート交付:国王

   19:00〜 螢の源平合戦観賞出発 大井谷、雨天時はスポーツ公園内

   21:00  宿舎帰着 温泉入浴・交流会

  6月13日

    7:30〜 朝食(スポ−ツ公園研修室)

    9:00〜 次のコースの内一つに参加

         1.村内の自然散策(ハッチョウトンボ生息地ほか) 

         2.渓流釣り(池郷川)

         3.ブラックバス釣り(七色ダム湖)

   12:00〜 昼食(池原大橋下流の川原で鮎・アマゴの塩焼き。

                    雨天時はバーベキュー場)

   14:00  解散  



 留意事項:雨具・釣り具(翌日釣りをされる方のみ)・健康保険証ををご持参

      ください。行事中の怪我については、主催者で応急処置はいたしま

      すが、それ以上の責任は負いません。



○乗鞍自然保護センター観察会

 <小さな自然観察会>

  すももとレンゲツツジ   1999年6月13・27日(日)  午前中開催

 <クビワコウモリ観察会 >

  1999年6月26日(土)  午後から夕方開催



 問合せ:長野県乗鞍自然保護センター(0263-93-2045)



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■パンパの鳥たち  (8)                                      高木  一夫

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▽牧場の草原



1.テリバネコウウチョウ(和名)

  Tordo renegrido(スペイン語)

  Shiny cowbird (英語)

  Molothrus bonariensis(学名)



 日本でいえばカラスに似た、黒光りのする小型のカウバードである。牧場では

牛のいるところには必ず従うように背中に乗ったり、足下を飛び回っている。主

に牛に近寄ってくる蠅、アブの類を目当てにしているようである。この鳥は托卵

をすることでも有名で、いろいろな鳥(スズメモドキ、キンノジコ)が被害を受け

る。

 ダーウインの記載

  "しばしば牛や馬の背に数羽止まっている。生け垣に止まって、陽光を浴びて

  羽を繕っているときでも折々鳴くようなあるいはしゅっとというような挙動

  をする。その音ははなはだ独特で、水中の小さな開口から空気の泡が急速に

  出るときに似て鋭い音を立てる。アザラによればこの鳥はカッコウと同じく

  卵を他の鳥の巣に産む。"



2.ソウゲンノジコ(和名)

  Verdon(スペイン語)

  Great pampa finch(英語)

  Embernagra platensis(学名)



 色・形はノジコかアオジに似ている。常にペアで行動し、パンパグラスなどの

やや高い場所に陣取って小さなさえずりをする。地味な鳥ではあるが飼い鳥にさ

れることもあり、近寄ってみるとオリーブ色で意外に美しい。人が近ずくと一定

の距離を飛び離れてまた止まる。



3.ニシマキバドリ(和名)

  Pecho colorado(スペイン語)

  White browed blackbird(英語)

  Sturnella superciliaris(学名)



 別名プリマベラ(春)といい、ウルグアイの代表的な渡り鳥である。春、まだ若

い芽が膨らみかけた頃北から大群をなして牧草地に来る。1か所に5〜7日間群は

滞在し、その間にぎやかにさえずり、雑草の種子などを採っている。その後、群

れは来たときと同様、突然南の方へ移動し始める。ごく一部のものがその場にと

どまって繁殖にはいる。

 チョウセンアザミの枯れた花の上に止まって赤い胸を自慢げに反らして囀る。

この鳥が来ると原野ではどこにいてもその鳴き声でわかる春告げ鳥といえる。

 ハドソンの記載によれば

  "ヨーロッパのムクドリに似て、さらに深紅の胸を持ち、パンパ土着の鳥の中

  では、鮮明な色彩を持つ唯一の鳥である。それは飛びながら歌う心地よい奔

  放な歌を持ち、冬には集合して大群をなし、平原を徐々に北へと旅する。こ

  の旅の時ムクドリは一種の秩序を保ち、餌をあさりつつ地上を進む群が長い

  前列を作り、一番遅れた鳥が絶えず他の者の上を飛び越えて最前列の中にお

  り立っては、進んでいく。"



4.マダラシギダチョウ(和名)

  Inumbu comun(スペイン語)

  Spotted nothura(英語)

  Nothura maculosa(学名)



 ウズラに似た鳥で放牧地の至る所に営巣する。人間が近づくとうずくまって隠

れるが、ごく近くまでゆくと突然飛び出して不器用に羽ばたいて逃げる。 3〜5m

の高さを滑空して300〜500mも一気に移動する。一般的に空気銃の標的とされる。

似た種類にやや大型のものもいる。

 ハドソンによれば

  "赤葡萄酒色のきれいな卵を産み、雛は成鳥よりも良く飛ぶ、頭部は小さく、

  細い曲がった嘴を持ち、脚と足には羽毛がなく尾を持たない。草むらに隠れ

  て生活しクイナのように高い草の間を歩き、重苦しげに飛ぶ。追い立てられ

  たときの飛び方は非常に激しく、やかましい羽音をたて、じきに疲れてしま

  う。彼らは一羽一羽に分かれているが。多くのものが付近に住み、柔らかい、

  悲しげな声で、互いに鳴き交わす。夜、鳴く声は笛に似て特殊な美しさと風

  情を持っている。"



説明に付属する写真



1.テリバネコウウチョウ:牛とコウウチョウ、テリバネコウウチョウ(3枚)

2.ソウゲンノジコ   :ソウゲンノジコ(2枚)

3.ニシミマキバドリ    :ニシマキバドリ(2枚)

4.マダラシギダチョウ  :シギダチョウ(2枚)



                                                          <次号へ続く>



                  ★★★  写真を見たい方へ  ★★★

                  

  この連載記事には写真がありますが、Nature News には添付はしていません。

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い。なお、画像の公開、発信はNature News の発行より若干遅れますのでご了承

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    書きください。配信する画像の著作権は作者(または撮影者等)にあります

    ので、許可なく二次使用することはできません。また、画像の配信を中止さ

    れる場合は、上記のアドレス宛てにsubject を「画像配信中止希望」とした

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  ァイルが送られてきていない場合は、お手数ですがメールでお問い合わせくだ

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■雑記蝶 (16)                                                藤井  恒

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○オオルリシジミ

 オオルリシジミは現在絶滅の危機に瀕している草原性のシジミチョウの1種で

す。かつては東北地方北部と中部地方、それに九州中部の草原に局地的に分布し

ていましたが、生息地での個体数は決して少ないものではなかったそうです。と

ころが、東北地方北部の青森県や岩手県では1970年代に入ると急激に姿を消して

行き、1980年代に入ると全く見られなくなってしましました。長野県を中心とす

る中部地方でも、1980年代半ばころから姿が見られなくなり、1990年代に入ると

ほとんどの場所で全く見られなくなってしまいました。現在もかろうじて姿が見

られるのは、新潟県内の産地と、人為的に保護されていた長野県内の産地だけだ

といわれています。しかし、これらの産地も非常に危険な状態にあると思われま

す。現在も比較的安定した個体群が維持されているのは、九州中部の産地だけで

すが、ここでも以前よりは分布が限られてきているようです。

 オオルリシジミは年1化性のチョウで、5〜6月頃に成虫が羽化します。羽化

した成虫はまもなく交尾し、クララというマメ科植物の蕾に産卵します。卵から

孵った幼虫は、クララの花蕾を食べて成長し、地面に降りて蛹化し、そのまま越

冬することがわかっています。(注:潜在的には年二回発生することが可能らし

く、飼育下では二化目の成虫が羽化することが知られていますが、自然状態で二

化目の成虫が見つかったことはないはずです。)

 ところでクララは全国各地の草原にふつうに分布している植物で、私が住んで

いる近くの、淀川や宇治川、木津川などの河川敷などにもふつうに見られます。

現在、オオルリシジミが絶滅してしまったと考えられる、青森県や岩手県、長野

県などのかつての産地にも、まだたくさんのクララが生えていて、その花蕾から

はルリシジミの卵や幼虫は多数見つかります。つまり、オオルリシジミがいなく

なってしまったのは、幼虫の食草がなくなってしまったり、生息環境が破壊され

たためだけではないと思われるのです。では、なぜオオルリシジミがいなくなっ

てしまったのでしょうか。

 青森県の場合、その理由として最有力視されているのが、農薬の使用です。例

えば、1960年代には弘前市やその近郊でオオルリシジミは多産していたといいま

す。かつてのオオルリシジミの産地の中には、現在、住宅地やリンゴ園になって

いるところもありますので、これは生息環境がなくなったためいなくなったとも

考えられます。しかし、最後までオオルリシジミが残っていた岩木山山麓の生息

地の環境は、かつての状態が維持されているのです。しかし、近くにはリンゴ園

がありますので、その農薬の影響が考えられるのです。また、かつては青森市郊

外の旧青森空港周辺でもオオルリシジミが多産していましたが、これも空港周辺

で農薬の空中散布が行われたころから、急に姿を消してしまったと指摘されてい

るのです。

 でも、同じ場所にいルリシジミは大丈夫ではないか。。。という人もいるでし

ょうが、同じ薬物にさらされても、その影響は種によって異なるのはよく知られ

ていることです。オオルシシジミは散布された農薬に対する感受性が特に高かっ

たと考えれると(いなくなってしまった今、それを確かめることはできませんが)

オオルリシジミだけがいなくなった理由をうまく説明できるように思います。



 農薬散布がチョウの個体群に影響を与えているかもしれないことは、以前、雑

記蝶(11)でも触れましたが、この問題はまた別の機会に述べたいと思います。

いずれにしても、オオルリシジミが話題のトキと同じ運命をたどらないことを、

祈るばかりです。



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■新刊紹介

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○松中昭一 1999

  くらわれものの草の話−雑草と人間−

  岩波ジュニア新書321,岩波書店,東京。

  ISBN 4-00-500321-4

  210pp. \700+税

  雑草とは何か、雑草と人間の関わりのほか、著者の専門である除草剤について

  かなり詳しく述べられています。前半はわかりやすく書かれていますが、除草

  剤の部分は高校で生物IIと化学IIの学習をしていないと、理解するのが困難か

  もしれません。除草剤について述べられた部分に限れば、ジュニア向けという

  より、大学生〜一般向けの良書といえます。



○乙訓の自然を守る会(編) 1999

 京都西山周辺の植物目録、乙訓の自然を守る会、長岡京。

 114pp. 16col.pl.

 京都西山周辺(京都市西京区、京都市南区、京都市伏見区、向日市、長岡京市、

 大山崎町、大阪府島本町)で見つかった植物1,134種(シダ植物113種、裸子植

 物9種、被子植物1,012種)の目録です。分布上興味深い種も含まれています。

 なお、一部の植物がカラー図版で紹介されているほか、目録中に簡単な解説が

 付されています。市販はされていませんので、入手を希望される方はメールで

   藤井 恒(pen@japan-inter.net)

 までお問い合せください。



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■書籍紹介

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○志村 岳(編著)

 井口泰泉・高田秀重・坂部 貢・田辺信介・押尾 茂(著) 1999

 図解 ひと目でわかる「環境ホルモン」ハンドブック

 講談社+α文庫,講談社,東京。

 ISBN 4-06-256325-8

 315pp. \780+税

 環境ホルモンの研究の歴史と現在の問題点がわかりやすくまとめられています。

 特に「図で見る身の回りの環境ホルモン」では、食品・赤ちゃん用品・食器容

 器・化粧品など身の回りで環境ホルモンを含む可能性のあるものがまとめられ

 ていて便利です。また、日本国内で問題となっている事例もまとめられており、

 国内の環境ホルモン問題を考えるときの基礎資料となります。

 ただし、環境ホルモンについてはまだよくわかっていないことが多いので、こ

 の本に書かれていることが必ずしも正しくとは限らないことを承知した上で、

 利用する必要があると思います。



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■くりえいとPEN:更新情報

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○くりえいとPEN  http://www2h.biglobe.ne.jp/~pen/

  チョウや昆虫、写真などの総合情報ページです。



○今日のひとこと  http://www2h.biglobe.ne.jp/~pen/hitokoto000.htm

  その時々に体験したこと、思ったこと、お知らせなどを不定期に紹介していま

  す。

  

○アサギマダラ情報

  いよいよ春のマーキングが本格化!!

  種子島では1000頭以上のアサギマダラが標識され、放蝶されたそうです。

  九州以北での再捕獲が期待されます。

  北海道でもアサギマダラが採れたそうですよ(マークなしですが)。

                        http://www2h.biglobe.ne.jp/~pen/asagi-net000.htm



○お勧めの本のページ  http://japan-inter.net/book/

  Nature Newsで紹介した本を中心に、★★★以上の本を紹介します。



○津軽昆虫同好会の紹介ページ。津昆関連の本の紹介ページもできました。

                                  http://japan-inter.net/insect/tsu-kon/



○ホームページの設置サービスを始めました。無料サービスもあります。

                               http://japan-inter.net/information000.htm



○子ども向けの質問コーナー「質問ひろば」    http://japan-inter.net/kids/

  ネーチャー関連の質問ができます。大人も利用できますよ。



                    >>>>>>>>>>>>見・に・来・て・ね   (^^)/



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■お知らせ

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○情報提供・ご投稿をお待ちしています。

  Nature News では、読者のみなさまからの情報提供やご投稿をお待ちしていま

す。ネイチャー関連の情報なら何でもOK・・・季節の生き物情報や新刊・CD

・パソコンソフト・ビデオの情報(宣伝)、素敵なネーチャー関連グッズの紹介

(宣伝)、ネーチャー関連のホームページの紹介(宣伝)、自然や環境について

のご意見など、何でもお寄せ下さい。

  なお、写真(画像)や音声も紹介されたい場合は、ホームページの方でご紹介

することも可能です。

  ただし、営業行為に該当するものは、ホームページへの掲載が有料となる場合

もありますので、ご相談ください。



○Nature News に掲載されている情報のご利用は、利用者の責任でお願いします。

  Nature News に掲載された情報を利用された結果、何らかの損害を被られても、

  くりえいとPENでは責任はとりませんので、予めご承知おき下さい。



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*        お問い合わせは ad@japan-inter.net までどうぞ。                *

*        広告について詳しくは、                                        *

*            http://japan-inter.net/nature-news/ad-mail.htm            *

*        をご覧ください。                                              *

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■編集後記

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○ 5月23日は京都府中北部へ調査に行ってきました。大江山に近い宮津市の山の

 山頂付近では、まだミヤマセセリやコツバメの姿が見られました。タニウツギ

 がちょうど見頃で、クロヒカゲやヒメキマダラヒカゲなども飛んでいましたが、

 何といってもヤマキマダラヒカゲの交尾を観察できたのがいちばんの収穫でし

 た。



○昨日は強風が吹き荒れて、各地で被害が出ましたが、みなさんは大丈夫でした

 か? 被害にあわれた方にはお見舞い申し上げます。そろそろ九州以北でも梅

 雨に入ります。雨が少なくても困りますが、降りすぎても困る雨。。。今年は

 大きな被害が出ないことを祈るばかりです。でも、梅雨の季節はいろんな生き

 物が見られる楽しい季節でもあります。梅雨の晴れ間のお散歩も、楽しんでみ

 てください。



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=  電子メールマガジン  Nature News No.16 (1999/05/28  発行)          =

=  発  行:くりえいとPEN  http://www2h.biglobe.ne.jp/~pen/          =

=  編  集:藤井  恒(Hisashi FUJII)                                   =

=                                                                      =

=   記事の転載を希望される場合は、下記までメールでお問い合せください。 =

=         お問い合せは  メールで  info@japan-inter.net   まで。        =

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