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★                Nature News  No.18 (1999/06/09発行)               ☆

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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇CONTENTS(目次)◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

◇  ■はじめに                                                        ◇

◇  ■ひとりごと:学校で学ぶということ  その5                        ◇

◇  ■協力者募集                                                      ◇

◇  ■イベント紹介: 第20回SSP展・東京展ほか                          ◇

◇  ■新連載  パンパの鳥たち(10) 高木一夫                           ◇

◇  ■雑記蝶 (18):ヒョウモンモドキ                                 ◇

◇  ■新刊紹介                                                        ◇

◇  ■くりえいとPEN:更新情報                                      ◇

◇  ■お知らせ                                                        ◇

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●Nature Newsは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』で発行さ

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■はじめに

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○Nature News は、読者のみなさんから寄せられたネーチャー関連の情報をお届

けする電子メールマガジンです。  (^^)/



○動物・鳥・昆虫・植物・花などの季節の情報、ネーチャー関連の本やホームペ

ージなどの紹介などのほか、エッセイなども掲載します。



○皆さまからの、情報提供、ご投稿をお待ちしています。

                     ・・・なければ、自分で書くだけです。。ハイ  (^_^;



○掲載は無料ですが、内容によってはご希望に添えない場合もありますので、予

めご了承ください。  m(__)m



○なお、お寄せ頂いた情報等は、くりえいとPENのホームページ

      http://www2h.biglobe.ne.jp/~pen/  等で

紹介させていただく場合があります。



○バックナンバーは、次のHPでご覧になれます。

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■ひとりごと

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○学校で学ぶということ  その5



*  大学の講義とは。。。

  前回、「わからないから学校へ行って勉強するんだ」「だから、わからないこ

とは恥ずかしいことではない」という主旨のことを書きました。

  では、何が恥ずかしいかというと、それは「わからないことをわからないまま

放置しておくこと」ではないでしょうか。無論、それは「そのままにしておいた

自分を、自分が恥ずかしいと思う」のであって、先生や親も含めて他人は関係あ

りません。もっとも、それを「恥ずかしい」と感じなければ、別にどうってこと

はないんですけれど。。。



  ところで、「わかる授業(講義)」が「良い授業」で、「わからない授業(講

義)」は「悪い授業」だと信じて疑わない生徒や学生が、たくさんいることに気

づきます。もちろん、同じことをやるのなら、「理解しにくい授業」より「理解

しやすい授業」がいいのは自明ですが、問題なのは彼らのいう「わかる」という

ことばの意味です。

  彼らの話を聞いたり、アンケートをとってみると、「彼らが既に知っているこ

とを、説明してくれる授業」が「わかる授業(つまり、良い授業)」だったり、

「1から10まで、先生がすべて説明してくれて、自分(生徒)はただそれを覚え

ればいい授業」が「よい授業」だったりするのです。それじゃあ、わざわざ大学

に入って、授業(講義)に出ることはないだろう。。。と、すっかりおじさん世

代になってしまった私は思うのですが、これも今の教育システムの弊害なんだと

は思います。

  ちなみに、予備校でも教えている私は明らかにこの弊害に荷担している訳で、

いつもジレンマの悩みながら講義をしています。「これは、最悪の授業だから、

大学に入ったらこんなやり方したらダメだよ」というのが、せめての抵抗でしょ

うか。でも、これって、予備校の先生としてはマズイんですけどね。。。



  大学の講義はわからなくて当たり前。。。だから勉強するんだと、少なくとも

私は学生時代に思っていましたし、それはたぶん、小学生や中学生や高校生の時

も同じだったと思います。わからないところが出てきたら、まず自分で解決しよ

うと努力をしたはずですが、それができないというか、やろうという気すらない

生徒(学生)が結構いることに危機感を覚えます。「君たち、それじゃあ、社会

に出てから生き残れないよ。」と。

  「大学は自ら学ぶところであって、何でも教えてもらうところではないのです。

それができないのなら、大学なんか行かなくてもいいんじゃないの。」と言いた

いけれど、そう言えなくなりつつある現状が憂えている今日この頃です。

  ・・・私もすっかり「おじさん」になった証拠かもしれないけれど。。。



                                                      >>次号へ続く予定



**** P R ***************************************************************

*             ◇◇  大学受験  生物論述対策  ◇◇                       *

*                                                                      *

*       2,000年の入試に向けて、早めに対策を立てましょう。              *

*       受験のプロがお手伝いします。                                   *

*         今すぐ  http://japan-inter.net/edu/bio/  へ !!               *

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■協力者募集

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○ジャノメチョウ科のmt-DNAサンプル固定

  南西諸島や近隣諸国のジャノメチョウ類のサンプル固定に協力して下さるボラ

  ンテイアを募集しています。

  また、ヒメヒカゲ(各地)、ツマジロウラジャノメ(北海道、四国)、ウラジ

  ャノメ(東北、中国地方)、ウラナミジャノメ類(沖縄、八重山)などのサン

  プル(エタノールで固定した個体)も必要としています。



○ルリタテハの卵

  ルリタテハの卵が 100卵ほど必要です。入手のお手伝いをして下さる方、また

  は卵を提供して下さる方を募集しています。



○京都府内の昆虫の採集データ

  京都府内の昆虫の採集データを提供してくださる方集しています。

  

  いずれも、詳細はNature News No.16をご覧ください。お問い合せは、

      藤井(e-mail:  pen@japan-inter.net)まで



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■イベント紹介

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○第20回SSP展:自然の中の不思議を知る

[東京展のご案内]

  会  場:富士フォトサロン/東京

          〒104-0061  東京都中央区銀座5-1  数寄屋橋センタ2F

          TEL:03-3571-9411  会場TEL:03-3571-0309

  日  時:1999年6月11日(金)〜17日(木)  10:00〜20:00(最終日14:00迄)

  交  通:JR有楽町駅下車

  

  1966年に佐渡で撮影されたトキの写真(岩合徳光さん撮影)をはじめ、気象、

  地形、風景、動植物、水中、顕微鏡など、自然や科学の様々な写真 117点が皆

  様のお越しをお待ちしています。



○吉野魅惑体験フェステバル協賛イベント

  あなたもツチノコに会えるかも:ツチノコ共和国夏の旅 蛍の源平合戦



  主  催:ツチノコ共和国

  共  催:下北山スポ−ツ公園

  日  時:1999年6月12日(土)〜13日(日)

  宿泊場所:奈良県吉野郡下北山村池原  下北山スポーツ公園

            (キャンプ場コテージ・オートロッジほか)

  募集人員:50名

  会    費:大人13,000円、未成年8,000円、3歳未満の幼児は無料

  申し込み:奈良県吉野郡下北山村寺垣内  下北山村役場地域振興課

              e-mail: k_nozaki@d1.dion.ne.jp

                 TEL:07468-6-0016

                 FAX: 07468-6-0818

            なお、定員になり次第締め切ります。



○乗鞍自然保護センター観察会



  <小さな自然観察会>

    すももとレンゲツツジ   1999年6月13・27日(日)  午前中開催

  <クビワコウモリ観察会 >

    1999年6月26日(土)  午後から夕方開催



  問合せ:長野県乗鞍自然保護センター(0263-93-2045)



○千葉県いすみ環境と文化のさと「ハスの鑑賞会」



  蓮田では、 6月下旬からオオガハスを皮切りに22種類のハスの花が楽しめます。

      ハスの開花予想クイズ(6月20日まで)、

      ハスの絵画・写真展の出展の募集(8月8日まで)

  などを実施するそうです。(入場無料)



  場  所:千葉県夷隅郡夷隅町万木2050

          千葉県いすみ環境と文化のさと

          TEL  0470-86-5251



  施設は、夷隅地域の自然観察の拠点となっているそうです。

  ハス以外にも動植物の情報が盛り沢山。関東周辺の方にお勧めです。

  施設の外観は、

        http://www.nttl-net.ne.jp/shinbei

  の散策の素材集(夷隅町編)で見られます。



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■お便りから:ツチノコの正体                                  棟方  達也

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○おもいつき:ツチノコの正体

  私は動物学者とか、自然のことを直接研究している者ではありませんが、前回

のNature News No.17 にツチノコ関係の記事があったので、私見をちょっと書い

てみます。

  私が子供の頃から本や雑誌でツチノコはたびたび取り上げられていました。目

撃者の証言やスケッチ等によれば、いろいろ諸説はあるようですが、おおよそ共

通しているのは、わりと短かめでまん中が異常に太いヘビのような生き物である

ということの様です。

  そこで結論から先にいいますと、それはただの「ヘビ」にすぎないのではない

かということです。シマヘビかマムシかアオダイショウの子供あたりが、自分の

からだ不相応の大きなもの(ウサギか大きなネズミか知りませんが)を丸飲みし

て難儀しているところなのです。そのような状態を想像していただければわかる

と思いますが、前へ進めなくてころがってしまったり、腹の皮が伸びきっていま

すからおかしな模様になっていたりするでしょう。急に飛びかかってきたなどと

いう証言も聞いたことがありますが、樹上か林道の土手っぷちあたりからもがい

て落ちてきただけなのではないですか?  人間、突然、山の中で得体の知れない

物に出くわせば、びっくりしていろいろな想像がかけめぐって脳裏に焼き付くと

思います。

  私がこのように考えるようになったきっかけは、テレビの動物番組でヘビがお

おきなエサをあごをはずして飲み込んだあとの様子を見てからです。これなら中

には、大きすぎるエサをうっかり飲み込んでしまうヤツもいるんじゃないかな、

と思ったのです。

  おもいつきでこんなことを書きました。真剣にツチノコを追い求めている方達

はさぞお怒りのことと存じます。あまり科学的な根拠に基づいておりませんし、

私の知らないデータもたくさんあるかと思います。教えていただければ幸いです。



                    >>  編集者より:みなさんのご意見もお待ちしています



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■パンパの鳥たち  (10)                                      高木  一夫

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▽牧場の館付近の喬木・ヘッジロー(前回からの続き)



6.キバラオオタイランチョウ(和名)

    Benteveo comun(スペイン語)

    Great kiskadee(英語)

    Pitangus sulphuratus(学名)



  雑食性のこの鳥は鮮やかな黄色と黒の配色でどこでも目立つ存在である。生息

地も都会の庭木にまで入り込んでいるので、特色あるベインテベオの鳴き声とと

もにウルグアイの人々に最も親しまれている鳥だろう。カランドリアが鳴き真似

を上手にするのに対して、この鳥の振りまねの技術は大変高い。カワセミ類のま

ねは枝や枯れ木にじっと止まって水面を見つめる様子。草地の 1〜3mの高さでハ

ヤブサやトビの真似をしたホバリングを30秒〜1分間も続ける。高い樹の3〜5mの

高さに巣材をたくさん使った大型の横に入り口のある巣を作る。

  ダーウインによれば

   "体の形は本当のモズにきわめて近いが、習性はいろいろの鳥に似ている。獲

    物を求めてある場所ではタカように飛び回って、それから他に移ってゆくの

    を見た。こうして空中に浮動しているときには少し離れた遠くからは、猛禽

    類と見誤るところがある。

    しかし、その急降下はタカに比べて力においても早さにおいてもはなはだ劣

    っている。別の時には水辺にしばしば現れて、カワセミのようにじっとして

    いて小魚が岸に近づけば、これを捕らえる。頭と嘴とは体に比して重すぎる

    ので、飛び方は波状である。"



7.マネシツグミ(和名)

    Calandria grande(スペイン語)

    Chalk browed mockingbird(英語)

    Mimus saturninus(学名)



  いつも木の上の最も高い梢に陣取って周辺を見回している。春にはいろいろな

声で楽しませてくれる。餌台にも簡単にやってきて一番力の強いところを見せる。

  ウルグアイには大小 2種いるが、アルゼンチンの北部にはサボテンにすむ他の

種も見られる。

  ダーウインによれば

   "南アメリカでは歌うのを目的とするほとんど唯一の鳥である。歌はヨシキリ

    のに比べられるが、それより力強く、かすれた調べとはなはだ高い音とが、

    気持ちの良い震え声で入り交じる。それは春の間だけ聞かれる。その他の季

    節には、声はしわがれて、この鳥は人になれて大胆である。

    群をなして田舎屋の柱や壁に吊した肉をついばみに集まってくる。他の小鳥

    が、このごちそうに加わると、すぐにこれを追い払う。"



8.オキナインコ(和名)

    Cotorra(スペイン語)

    Monk parakeet(英語)

    Myiopsitta monacha(学名)



  ウルグアイに一般に見られる唯一の中型インコである。その特性は集団行動で

あり、営巣、採食、すべて集団で行う。

  オキナインコの名前の通り緑と灰色の地味な色ではあるが、特有の声が大きく、

ペットとして飼われると番犬の代わりになるほどである。

  主として桃や西洋なしの熟期に果樹園を襲うので害鳥とされる。人間に対する

警戒心は強く、一定の距離を置くことはナンベイタゲリと似ている。巣はユーカ

リの大木に作ることが多いので人間の手では除去できない。モンテビデオの市街

地では巣材の多い椰子の木に営巣する場合が多い。

  ダーウインによれば

   "灰色の胸をした、緑色の小さなオウムは住場所として島の高い樹の上がなに

    よりも好きらしい。多数の巣が密集していて、棒きれの大集塊をなしている。

    この鳥は常に大群をなして、トウモロコシ畑に大害を与えるのでコロニア付

    近では一年間に2500羽を殺すという。"



9.スズメモドキ(和名)

    Chingolo corona castana(スペイン語)

    Stripe-capped sparrow(英語)

    Aimophila strigiceps(学名)



  日本のホオジロと非常によく似ている。地球の裏側にいながら鳴き声も良く、

「一筆啓上」とも聞こえる。頭頂の毛がやや逆立っている点が日本のものとは異な

る。営巣が地表面であることも違う点ではある。人家近くに常にうろついている。



10.ハイガシラトビ(和名)

    Milano blanco(スペイン語)

    White-tailed kite(英語)

    Elanus lecucurus(学名)



  トビの一種であり旋回飛行が得意であるが、ハヤブサのようなホバリングも上

手である。全身白色で羽の下面には黒斑部があり、飛行中下から見て大きな特徴

である。尾はやや二またに分かれている。全国至る所に生息するが耕作地に多い。



今回の説明に付属する写真

  6.キバラオオタイランチョウ    ベンテベオ(2枚)

  7.マネシツグミ                カランドリア

  8.オキナインコ                コトラ

  9.スズメモドキ                チンゴロ(3枚)

  10.ハイガシラトビ              ハイガシラトビ(2枚)



                                                          <次号へ続く>



                  ★★★  写真を見たい方へ  ★★★

                  

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■雑記蝶 (18)                                                藤井  恒

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○ヒョウモンモドキ

  ヒョウモンモドキも近年衰亡著しいチョウのひとつです。かつては中部地方や

中国地方の低山地〜山地の湿地などに、局地的ではあるものの広く分布していま

した。現在も広島県の一部などでは確実に発生を続けていますが、中部地方など

では非常に珍しい種になってしまいました。

  年1化性で、成虫は5月下旬〜7月にかけて見られますが、各発生地で成虫が

見られるのは2週間ほどです。成虫は羽化後まもなく交尾をして、キセルアザミ

などの葉に数百卵からなる卵塊を産みます。ふかした幼虫は集団で摂食し、幼虫

で越冬します。もともとは自然の湿原などで発生していたと思われますが、広島

県などで現在も発生を続けているのは、主に休耕田です。私の出身地の広島県吉

和村にもかつては生息地がありましたが、1980年代以降記録はなく、絶滅してし

まったものと考えています。近くの芸北町八幡原などでも、非常に少なくなって

しまったと聞いており、広島県中部の生息地もいつまで発生を続けられるか、心

配されています。

  ヒョウモンモドキの衰亡の理由もはっきり分かっているわけではありませんが、

まず生息地である湿地の減少が考えられます。最近になってようやく湿地の重要

性が認識されてきていますが、湿地は人間の役に立たない土地として厄介者扱い

される傾向がありました。そのため、人口が増えてきたり、リゾート地などとし

ての開発が進むと、宅地として、別荘地として、ゴルフ場として、あるいは新し

い道路建設用地として、真っ先に埋め立てられてきたのです。その結果、ヒョウ

モンモドキだけでなく、同じような場所に生息していたヒメヒカゲやゴマシジミ、

ヒメシジミなども次々に姿を消して行きました。

  また、オオルリシジミのときにも触れた農薬散布の影響も考える必要があるで

しょう。(水田も含めて)水辺や湿地を主な生息場所としていた、これらのチョ

ウやトンボ、ホタル、タガメなどの昆虫が急激に衰亡した1960年代後半〜1970年

代前半は、急激な開発と共に、害虫防除の名の下に大量の農薬散布が行われた時

代でもあったからです。



  私がまだ幼かった頃、夏になるとものすごい数のホタルが近所の田圃のまわり

を飛び回っていました。山間部の田舎でしたから、まだ街灯などもほとんどなく

て、夜は真っ暗。

    夜空を見上げると星、星、星。。。

    田圃の上には蛍、蛍、蛍。。。

舗装されていない道をたま〜に自動車が通ると、ホタルたちは一斉に逃げ出し、

しばらくするとまた舞い戻ってくる。

    月光る田圃の水面、寄せては返すホタルの大群。。。

まるで光の大波が田圃の上を波打っているようで、いつまで見ていても決して飽

きることはありませんでした。しかし、ヘリコプターを使った農薬の空中散布が

始まるようになり、この美しい情景は私の心の中の化石と化してしまいました。



  1970年代に入って、政府の減反政策であちこちに休耕田が見られるようになり

ました。水稲で生活してきた農家の人にとっては深刻な問題でしたが、湿地に棲

む生物にとって、休耕田はひとときの安息をもたらす素敵な環境となりました。

既に減り始めていたヒョウモンモドキなどの湿原のチョウたちも、休耕田の増加

と共に個体数を増し、分布も多少広げていったようです。広島県にヒョウモンモ

ドキなどの多産地があることが注目されるようになったのも、ちょうどこの頃で

す。実際、休耕田はこれらのチョウやチョウの食草が生えるのに適した湿地で、

特に、不便で狭い谷の奥に作られた田圃が休耕田となることが多かったことも、

彼らにとっては幸いでした。なぜなら、当時はまだその近くに彼らが細々と生き

残っていたからです。また、休耕田となったこのような田圃は、その後何年もの

あいだ耕作されることもなく放置されることが多く、当然、農薬散布の対象にも

ならなかったのも幸いしました。

  しかし、それが彼らの安住の地であり続けることはなかったのです。やがて、

そういう土地も投機の対象となり、開発の対象となって破壊されていきました。

また、開発を免れた休耕田も、そのまま放置され続ければ、遷移が進行していき

ます。湿地にはやがてさまざまな植物が侵入して土壌形成が進み、土地は乾燥す

ると共に雑木林へと変わっていきます。そして、ついには彼らの棲める場所はな

くなってしったのではないかというのが、私の考える衰亡のシナリオです。



  トキの例を出すまでもなく、あるレベルまで個体数が減少してしまった個体群

は、絶滅するしかありません。ヒョウモンモドキやオオルリシジミなどは、確か

に種としては、絶滅していませんが、既にたくさんの地域個体群が絶滅してしま

いました。鳥やチョウは、研究が比較的進んでいるのでこういうことが分かりま

すが、私たちの気づかぬ内に、絶滅しまった生物がどれほどあるのか。。。想像

もつきません。



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■新刊紹介

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○内田春男(著)・白水  隆(監修)・羅  錦吉(取材協力) 1999

  フォルモサの森を舞う妖精−台湾産ゼフィルス25種−

  自費出版, 沼津。

  207pp.(80col.pls.) \19,000

  台湾産ゼフィルス(ミドリシジミ類:森林性のシジミチョウ)25種を多数の写

  真とともに紹介した本です。今まで生活史が不明だったタイワンイチモンジシ

  ジミをはじめ、断片的な記録しかなかった珍稀種の幼生期の写真を含め、23種

  の幼生期が紹介されているすごい本です。内田さんは、今までに台湾の蝶の本

  を3冊、自費出版されており、これが4冊目。今年80歳とは思えない大活躍で

  す。自費出版のため、一般書店では入手できません。著者に直接申し込むか、

  TTS昆虫図書、南陽堂書店などを通じて購入して下さい(送料が別途必要で

  す)。なお、過去に出版された3冊はすべて絶版となっています。



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■くりえいとPEN:更新情報

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○くりえいとPEN  http://www2h.biglobe.ne.jp/~pen/

  チョウや昆虫、写真などの総合情報ページです。



○今日のひとこと  http://www2h.biglobe.ne.jp/~pen/hitokoto000.htm

  その時々に体験したこと、思ったこと、お知らせなどを不定期に紹介していま

  す。

  

○アサギマダラ情報

  各地でアサギマダラが見られるようになり、産卵も観察されています。

  私もようやく初マーク  (^^)v

                        http://www2h.biglobe.ne.jp/~pen/asagi-net000.htm



○お勧めの本のページ  http://japan-inter.net/book/

  Nature Newsで紹介した本を中心に、★★★以上の本を紹介します。



○津軽昆虫同好会の紹介ページ。津昆関連の本の紹介ページもできました。

                                  http://japan-inter.net/insect/tsu-kon/



○ホームページの設置サービスを始めました。無料サービスもあります。

                               http://japan-inter.net/information000.htm



○子ども向けの質問コーナー「質問ひろば」    http://japan-inter.net/kids/

  ネーチャー関連の質問ができます。大人も利用できますよ。



                    >>>>>>>>>>>>見・に・来・て・ね   (^^)/



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■お知らせ

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○情報提供・ご投稿をお待ちしています。

  Nature News では、読者のみなさまからの情報提供やご投稿をお待ちしていま

す。ネイチャー関連の情報なら何でもOK・・・季節の生き物情報や新刊・CD

・パソコンソフト・ビデオの情報(宣伝)、素敵なネーチャー関連グッズの紹介

(宣伝)、ネーチャー関連のホームページの紹介(宣伝)、自然や環境について

のご意見など、何でもお寄せ下さい。

  なお、写真(画像)や音声も紹介されたい場合は、ホームページの方でご紹介

することも可能です。

  ただし、営業行為に該当するものは、ホームページへの掲載が有料となる場合

もありますので、ご相談ください。



○Nature News に掲載されている情報のご利用は、利用者の責任でお願いします。

  Nature News に掲載された情報を利用された結果、何らかの損害を被られても、

  くりえいとPENでは責任はとりませんので、予めご承知おき下さい。



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*        お問い合わせは ad@japan-inter.net までどうぞ。                *

*        広告について詳しくは、                                        *

*            http://japan-inter.net/nature-news/ad-mail.htm            *

*        をご覧ください。                                              *

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■編集後記

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○6月6日(日)は、大阪市立自然史博物館で日本鱗翅学会近畿支部例会があった

  ため、フィールドへ行けませんでした。天気が良かったので、参加者はやや少

  な目でしたが、村田泰隆さんのアマゾンのお話、広渡俊哉さんの森林火災後の

  カリマンタン(インドネシア領ボルネオ)のお話など、興味深く拝聴してきま

  した。



○各地でホタルが見られるようですが、私はまだホタルを見る機会に恵まれてい

  ません。子供たちは、ぼちぼちクワガタ採りに出かけていますが、まだあまり

  採れていないようです。



○佐渡のトキ(中国産)の雛はずいぶん大きくなったようですね。TVニュース

  を見ていると、人間が餌をやって育てているようですが、刷り込み(インプリ

  ンテイング)が起こらないのか、ちょっと心配です。



○トキにしろ、ホタルにしろ、メダカにしろ、種の保護より、彼らも含めた多様

  な生物が棲める環境が大切だということを、忘れないようにしたいものですね。

  

○ツチノコについてのご意見をいただきましたので、紹介しました。私は広島の

  出身ですが、広島もツチノコやヒバゴンを目撃したという話の多いところです。

  ずいぶん昔の話なので、正確には覚えていませんが、某大手新聞社の新聞の1

  面に大きなカラー写真と共に「ついにツチノコ発見!」といった感じの記事が

  載ったの見て、「そんなバカな。。。」と思った記憶があります。あの写真の

  記事、その後どうなったんでしょうね?  ちなみに、私は全然信じていません

  が、でも夢を追うことは否定しません。



○信州の高原では、まだヤマザクラが咲いている頃かと思いますが、今年は京都

  府の昆虫調査もあるので、あまり遠出をしていません。北国や信州からの情報

  をお待ちしております。Help me!



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=  電子メールマガジン  Nature News No.18 (1999/06/09  発行)          =

=  発  行:くりえいとPEN  http://www2h.biglobe.ne.jp/~pen/          =

=  編  集:藤井  恒(Hisashi FUJII)                                   =

=                                                                      =

=   記事の転載を希望される場合は、下記までメールでお問い合せください。 =

=         お問い合せは  メールで  info@japan-inter.net   まで。        =

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