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★                Nature News  No.20 (1999/06/25発行)               ☆

☆                                                                    ★

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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇CONTENTS(目次)◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

◇  ■はじめに                                                        ◇

◇  ■ひとりごと:コンビニでの出来事                                  ◇

◇  ■協力者募集                                                      ◇

◇  ■イベント紹介:乗鞍自然保護センター観察会  ほか                  ◇

◇  ■新連載  パンパの鳥たち(12) 高木一夫                           ◇

◇  ■雑記蝶 (20):2種類のアカシジミ                               ◇

◇  ■新刊紹介                                                        ◇

◇  ■新刊予告                                                        ◇

◇  ■くりえいとPEN:更新情報                                      ◇

◇  ■お知らせ                                                        ◇

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●Nature Newsは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』で発行さ

  れているメールマガジンに読者登録された方へ送付されます。

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■はじめに

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○Nature News は、読者のみなさんから寄せられたネーチャー関連の情報をお届

けする電子メールマガジンです。  (^^)/



○動物・鳥・昆虫・植物・花などの季節の情報、ネーチャー関連の本やホームペ

ージなどの紹介などのほか、エッセイなども掲載します。



○皆さまからの、情報提供、ご投稿をお待ちしています。

                     ・・・なければ、自分で書くだけです。。ハイ  (^_^;



○掲載は無料ですが、内容によってはご希望に添えない場合もありますので、予

めご了承ください。  m(__)m



○なお、お寄せ頂いた情報等は、くりえいとPENのホームページ

      http://www2h.biglobe.ne.jp/~pen/  等で

紹介させていただく場合があります。



○バックナンバーは、次のHPでご覧になれます。

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■ひとりごと

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○コンビニでの出来事

  先日の日曜日、午後になってから子供2人を連れて、兵庫県へ蝶を見に行きま

した。あまり珍しい蝶はいませんでしたが、ミドリシジミなどを見て、夕方、国

道沿いのコンビニの駐車場に車を止めました。すると、隣に止まっていた神戸ナ

ンバーの車のドアがいきなり開いて、中からコンビニで買ったと思われる食べ物

の容器がバラバラと投げ捨てられました。唖然として見ているとと、ドアをバタ

ンと締めて、その車はその場から走り去りました。その車がいなくなったあとに

は、いくつもの空の容器や袋などが散乱していました。顔が見えたのは、後部座

席に載っていた1人だけでしたが、20代半ばと思われるヒゲを生やした小太りの

男性でした。ゴミ箱がすぐそばにあるんだから、ちょっと降りて捨てればいいも

のを、一体こいつら、何考えてんだろうと、腹立たしいばかりでした。ゴミは小

学生の子供が拾ってゴミ箱に捨てましたが、呆れてものも言えませんでした。

  でも、車からのゴミのポイ捨てをする人は、結構いますよね。この日も、茨木

インターから中国道に入った直後に、前の車からタバコを投げ捨てた輩がいまし

たし、空き缶などを平気で投げ捨てる危険や車も時々目撃します。国道や高速道

路の車から、ゴミ袋を丸ごと捨てた車も何度か見かけたことがあります。いやは

や、この国はどうなってるんでしょうね?



                        (学校で学ぶということ  は  今回はお休みします)



**** P R ***************************************************************

*             ◇◇  大学受験  生物論述対策  ◇◇                       *

*                                                                      *

*       2,000年の入試に向けて、早めに対策を立てましょう。              *

*       受験のプロがお手伝いします。                                   *

*         今すぐ  http://japan-inter.net/edu/bio/  へ !!               *

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■協力者募集

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○ジャノメチョウ科のmt-DNAサンプル固定

  南西諸島や近隣諸国のジャノメチョウ類のサンプル固定に協力して下さるボラ

  ンテイアを募集しています。

  また、ヒメヒカゲ(各地)、ツマジロウラジャノメ(北海道、四国)、ウラジ

  ャノメ(東北、中国地方)、ウラナミジャノメ類(沖縄、八重山)などのサン

  プル(エタノールで固定した個体)も必要としています。



○ルリタテハの卵

  ルリタテハの卵が 100卵ほど必要です。入手のお手伝いをして下さる方、また

  は卵を提供して下さる方を募集しています。



○京都府内の昆虫の採集データ

  京都府内の昆虫の採集データを提供してくださる方集しています。

  

  いずれも、詳細はNature News No.16をご覧ください。お問い合せは、

      藤井(e-mail:  pen@japan-inter.net)まで



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■イベント紹介

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○乗鞍自然保護センター観察会



  <小さな自然観察会>

    すももとレンゲツツジ   1999年6月27日(日)  午前中開催

  <クビワコウモリ観察会 >

    1999年6月26日(土)  午後から夕方開催



  問合せ:長野県乗鞍自然保護センター(0263-93-2045)



○第16回(平成10年度)神戸大学農学部公開講座

  生命・生活・環境に侵入する技術と人間的コントロールの回復

    −科学的原理と倫理の葛藤



  日    時:1999年7月12日(月)〜7月16日(金)  毎日13:10〜16:30

  会    場:神戸大学農学部C棟101号室

  募集人員:150名

  受 講 料:6,500円(受講申込書の添えて払い込み)

  申し込み:

    1999年6月21日(月)〜7月2日(金)に神戸大学農学部で申し込むこと。

  受講申込書の請求、問い合わせ先:

    〒657-8501  神戸市灘区六甲台町1-1  神戸大学農学部庶務掛

                  TEL:078-803-5921  FAX:078-803-5931



  各日のサブテーマ・講演は以下の通り

    7月12日(月)「組み換え植物、経口変異原など食の安全性」

      組み換え体作物技術の原理と問題点(石井尊生)

      経口変異原の作用(芦田  均)

      腸管出血性大腸菌O157猛威に見るわが国の現況(大澤  朗)

      残留農薬の遺伝子組み換え植物による分解(乾  秀之)

    7月13日(火)「埋め立て、河口堰、空港・宅地造成の問題点」

      諫早湾その後  どっこい生きているムツゴロウ(片寄俊秀)

      埋め立て、堰によって失われる自然環境の経済価値(鷲田豊明)

      沖縄やんばるの森の貴重生物、生物多様性およびその保護(伊藤嘉昭)

      沖縄ヤンバルにおける公共事業と自然破壊(関根孝道)

      オランダの水環境と水利施設(田中  勉)

    7月14日(水)「産業廃棄施設見学」

      産業廃棄物の現状と問題点(藤永のぶよ)

      [14:10〜  産業廃棄施設見学]

    7月15日(木)「産業廃棄物とリサイクル、

                                          新しい環境素材と代替エネルギー」

      ドイツにおける環境教育・環境政策からみた日本の現状と問題点

                                                              (渡辺  哲)

      Biodegradable materials 関連技術の到達点と経済性(筏  英之)

      昆虫新産業−視点を変えて(竹田真木生)

      新時代型環境産業(赤池  学)

    7月16日(金)「新しい産業形態と環境・生命倫理の確立を目指して」

      クローン技術の到達点(宮野  隆)

      子供と生活環境(仮)(家森百合子)

      森の役割とその管理(金澤洋一)

      生命と環境の倫理学(加藤尚武)



○千葉県いすみ環境と文化のさと「ハスの鑑賞会」



  蓮田では、 6月下旬からオオガハスを皮切りに22種類のハスの花が楽しめます。

      ハスの絵画・写真展の出展の募集(8月8日まで)

  などを実施するそうです。(入場無料)



  場  所:千葉県夷隅郡夷隅町万木2050

          千葉県いすみ環境と文化のさと

          TEL  0470-86-5251



○シンポジウム『ごみ!健康と生活を守る住民の取り組み』



  期  日:1999年7月3日午後1時から4時半

  会  場:長野県豊科町・公民館(定員700名)

          JRとよしな駅より徒歩5分・豊科I.C.より車7分

  主  催:長野県廃棄物問題研究会・松本市職員労働組合

  後援:長野県弁護士会

  資料代:500円

  問合先:長野県廃棄物問題研究会(TEL/FAX:0269-38-3827)



○長野市民  環境シンポジウム

  日  時:1999年7月10日(土)  13時30分〜16時30分

  場  所:長野市ふれあい福祉センター  5階ホール

  参加費:(資料代含む)1000円

  主  催:長野市環境計画を考える会

  連絡先:TEL/FAX026-284-0527  野池



  パネリスト:

    関口鉄夫(長野県廃棄物問題研究会  −廃棄物)

    中口毅博(NGO環境自治体会議  総括研究主幹  −地域環境計画)

    松本泰子(東京理科大諏訪短大助教授、元グリーンピースジャパン

                  −地球温暖化、オゾン)

    渡辺隆一(信州大学教育学部助教授  −生態学、環境教育)



○第20回SSP展:自然の中の不思議を知る

[大阪展のご案内]

  会  場:富士フォトサロン/大阪

          〒530-0001  大阪市北区梅田1-9-20  大阪マルビル3F

          TEL:06-6346-0222

  日  時:1999年7月16日(金)〜22日(木)  10:00〜18:00(最終日15:00迄)

            [7月21日(水)は休館です]

  交  通:JR大阪駅または駅、阪急・阪神・地下鉄御堂筋線梅田駅、

          地下鉄四つ橋線西梅田駅下車

  

  1966年に佐渡で撮影されたトキの写真(岩合徳光さん撮影)をはじめ、気象、

  地形、風景、動植物、水中、顕微鏡など、自然や科学の様々な写真が皆様のお

  越しをお待ちしています。なお、大阪展では会場の関係で、前出品作品 117点

  のうち、90点だけが展示されます。

  7月17日(土)午後には、SSP副会長で昆虫写真家の海野和男さんも来場される

  予定です。私(藤井)も会場でみなさまのお越しをお待ちしております。





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■パンパの鳥たち  (12)                                      高木  一夫

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▽牧場の牧柵



1.  セアカカマドドリ(和名)

    Hornero comun(スペイン語)

    Rufous hornero(英語)

    Furnarius rufus(学名)



  パンパの鳥の代表として有名なこの鳥は人家近くにも巣を作り、人を恐れず時

には人間の行動をのぞき見するような動作をする。ほとんど一年中ペアで行動し、

巣作りも共同で行う。オルネロの巣作りはめざましいものである。大型の巣を早

いときは土塊で 2日で完成させる。材料が粘土のような粒子のごく細かい洪積土

(ラプラタ河の泥)なので、雨が降らないと自由にならない。連続した雨のある時

期、雨が降り始めると雄雌とも粘土の塊を口にくわえ懸命に営巣場所に運ぶ。こ

れが1,500〜3,500回に及ぶ。順調にいけば2〜3日で完成する。しかし雨が途中で

止み、降らなくなると結果は悲惨である、未完成の巣が放棄されることも多い。

巣作りは電柱の上、柵、灌木の分枝など地上 2〜4m程度で、下草の少ない独立樹

に多い。これは主として蛇類の捕食を免れるためらしく、道路沿いに多いことも

はっきりしている。大きさは直形30cm、重さは4〜10kgを越すものもある。卵は2

〜4個産み、雛は赤裸の時代が長い。

  一回だけの使用で巣は放棄されるが、オルネロの古い巣を他の鳥がそのまま利

用することはほとんどないのは不思議であった。

  一部が壊れたものはキンノジコなどがよく利用している。ダーウインによれば

   "スペイン人は"家造り"といっている。その名は巣の形から来たものであるが、

    巣は露出した場所にあって、旗竿の先端、露岩、サボテンの樹上などにある。

    泥や藁切れで作り、丈夫な厚い壁がある。その形はまさしく竃かあるいは押

    しつぶした蜂の巣によく似ている。入り口は大きく、アーチ型で、前方にあ

    る。巣の内部にはほとんど屋根まで届きそうなしきりがあって、それが真の

    巣への通路とも、また入り口の室ともなっている。"



2.  ハシボソキツツキ(和名)

    Carpintero campestre(スペイン語)

    Field flicker(英語)

    Colaptes campestrist(学名)



  キツツキは枯れ枝や樹皮の下にいる昆虫を餌にするために樹をつつく習性から

その名前が付けられている。しかし、ウルグアイは樹木が少ないせいかキツツキ

やその仲間のオオキバシリなどが地表で採餌する光景がよく見られる。餌は土壌

昆虫やミミズなどであろう。また、キツツキの場合、リンゴなどの果実を食べる

性質もある。虫の食入したリンゴをつつくのではなく、果実を食べていることは

餌台においたリンゴを食べているのを見れば納得できる。



3.  ズグロオナガタイランチョウ(和名)

    Tijereta(スペイン語)

    Fork-tailed flycatcher(英語)

    Tyrannus savana(学名)



  日本にも尾の長い鳥はサンコウチョウのようなものがいるが、明るい場所では

滅多にお目にかかれない。この鳥と似ているものを強いてあげればオナガが相当

する。

  タイラントバードに属するこの鳥は大きな樹の頂上や電柱、牧柵など見通しの

よいところに止まり、昆虫が付近を通ると舞い上がってそれを捕らえ、元の場所

に戻ってくる。

  尾の長さが体長の 3倍近くあり、その舞い上がる様は大型のタイラントだけに

見事である。牧柵に止まっているこの鳥に近づくと10数本先の柵までひらりと移

動し、またその先へ進む。 3回ほど前進すると今度は大きく元に返り、一番最初

にいた杭に帰る。

  ダーウインによれば

   "二叉に分かれた尾の先が二本の長い羽毛に終わっている。スペイン人からハ

    サミの尾の鳥と呼ばれて、ブエノスアイレス付近ではきわめて普通である。

    人家近くのオンブ樹の枝に止まって、そこからわずかに飛んで虫を追いかけ、

    またもとの場所に戻る。飛んでいるときには、その飛び方や全体の様子は普

    通のツバメを戯画化したようである。空中で鋭く方向を変える力があり、そ

    のときには尾を水平にあるいは横に、また時としては垂直に、ハサミのよう

    に開閉する。



4.  アナホリフクロウ(和名)

    Lechucita pampa(スペイン語)

    Burrowing owl(英語)

    Athene cunicularia(学名)



  牧場の土手などに作られた他の動物の穴などを利用して巣を作る。日中も穴か

ら出て柵の上に止まっているパンパの名物である。小型(手のひら大)で大変愛嬌

がある。

  ダーウインによれば

   "ブエノスアイレスの平原ではビスカチャの穴に限って住んでいるが、ウルグ

    アイでは自分の巣を作る労働者である。夕暮れにはどの方向を見てもこの鳥

    が番で巣に近い丘に止まっている。迫害を受ければ穴に入り込むか、あるい

    は鋭いしわがれた鳴き声をたて、特色のある波状の飛び方でわずかばかり移

    動して振り返り、迫害者をじっと見つめる。ハツカネズミや蛇、場合によっ

    てはカニなどを食べるとされている。しかし、現在では牧場の土手などに穴

    を掘ってすむ他の動物の穴を利用しているので、労働者ではなくなっている。"



説明に付属する写真

  1.セアカカマドドリ            巣を作るペア、巣の構造、雄成鳥

  2.ハシボソキツツキ            成鳥、いろいろな行動

  3.ズグロオナガタイランチョウ  牧柵の上の成鳥、いろいろな行動

  4.アナホリフクロウ            牧柵の上の成鳥、表情 



                                                          <次号へ続く>



                  ★★★  写真を見たい方へ  ★★★

                  

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■雑記蝶 (20)                                                藤井  恒

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○2種類のアカシジミ

  ゼフィルスの仲間にアカシジミという蝶がいます。オレンジ色の大型のシジミ

チョウです。北海道〜九州の雑木林に広く分布している普通種ですが、10数年前

に北海道や青森県のカシワ林にいるアカシジミは別種ではないかと言われるよう

になり、これは現在ではキタアカシジミ(カシワアカシジミ)という別種とされ

ています。

  キタアカシジミは北海道と青森県や岩手県では比較的多くの産地が見つかって

いて、現在、那須付近以北の北日本と、飛び離れて広島県冠高原に分布すること

がわかっています。冠高原のキタアカシジミは北日本のものとは別亜種とされ、

ミナミアカシジミと呼ばれることもあります。また、研究者によってはミナミア

カシジミを別種とする人もいます。

  私は青森県弘前大学の学生だった時(1980年頃)に、青森市郊外の旧青森空港

周辺のカシワから、「アカシジミ」の卵塊をたくさん見つけ、非常に驚きました。

というのは、アカシジミの卵はふつう1卵ずつ産み付けられるのが常識で、しか

も産卵する際に、♀が卵に表面に「ゴミ」をつけて卵をカモフラージュするため、

野外で卵を発見するのは非常に難しかったからです。そこで津軽昆虫同好会の例

会の際に、この「アカシジミ」はおかしいのではないかという話をしたのですが、

「青森や陸中のアカシジミはカシワにはそういう風に産むんだ」というY氏の返

事にとりあえずは納得したのでした(この話はその後、TSU・I・SOというチョウ

の週刊誌に書きました)が、それが実はキタアカシジミだった訳です。

  また、大学生の時には、ゼフィルスの撮影や行動観察をあちこちで行いました

が、同じ青森県の車力村高山稲荷のカシワ林では、ミドリシジミ類ではよく見ら

れますが、アカシジミではあまり聞いたことのない、卍巴(まんじともえ)飛翔

(2頭がくるくる回るようにして追飛する飛翔)を観察して、これは「やどりが」

という雑誌で紹介しました(図は、保育社の蝶類生態図鑑にも引用されています)。

ところが、これもまたキタアカシジミであったわけです。

  一方、ミナミアカシジミが分布する広島県吉和村は、実は私の出身地で、冠高

原には中学生や高校生の頃、何度も出かけました。冠高原にはミナミアカシジミ

とふつうのアカシジミが混生していますが、当時私が冠高原で採集したり撮影し

たりした「アカシジミ」の多くは、実はミナミアカシジミでした。

  そんなわけで、キタアカシジミの存在が分かった直後、北海道や青森県、岩手

県、長野県、広島県、岡山県などのカシワ林で、キタアカシジミを探すための採

卵調査を行いました。調査をすれば、あちこちのカシワ林にキタアカシジミ(ま

たはミナミアカシジミ)が分布することが分かるだろうと軽く考えていましたが、

現実はそう甘くなく、北海道の旭川市近郊のカシワ林では1日がんばってようや

く少数の卵を発見できただけでしたし、長野県ではカシワから「アカシジミ」の

卵を発見したものの、それはふつうのアカシジミでした。

  また、中部地方以西では広島県冠高原にしか生息していないとは、考えられな

いので、岡山県や今年は兵庫県でも調べて見ましたが、カシワからはアカシジミ

の卵すら発見できないでいます。冠高原のある吉和村にもかつてはあちこちにカ

シワ林があったのですが、現在は伐採が進んでごく一部にしか残っていません。

そんな中で、冠高原から10kmほど離れたカシワ林で「アカシジミ」の卵を2卵だ

け見つけることができました。これは・・・と期待しましたが、ふつうのアカシ

ジミの卵でした。

  発見当初、冠高原のキタアカシジミはふつうに見られましたが、ここ3年ほど

ほとんど姿を見ることができない状態が続いています。カシワはちゃんと残って

いますし、キタアカシジミの大量採集が行われたという話も聞きませんので、激

減の理由はわかりませんが、このままでは貴重な個体群が絶滅しかねません。そ

こで、人工増殖も試みようという話にはなっているのですが、人工増殖に必要な

個体すら得られない状況が2年ほど続いています。今年も、冠高原に調査に行く

つもりですが、果たしてキタアカシジミと出会うことができるか、非常に心配し

ています。



  ところで、青森県車力村周辺や青森市周辺のキタアカシジミも、ここ数年、個

体数が激減しています。私自身、一昨年には津軽半島北部でキタアカシジミを確

認していますが、昨年は発生期に行ったにもかかわらず、その姿を見ることはで

きませんでした。下北半島では昨年も確認していますが、こちらはもともとそれ

ほど個体数が多くないことを考えると、青森県のキタアカシジミも早めに保護対

策をとる必要があるように思います。ちなみに、車力村周辺ではキタアカシジミ

だけでなく、カシワ林に生息する他のゼフィルス類も激減しているため、農薬散

布の影響(近年、空中散布を行っているそうです)があるのではないかと疑われ

始めています。

  他の地域のキタアカシジミの現状については情報がないためわかりませんが、

衰亡していないことを願うばかりです。



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■新刊紹介

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○松井孝爾 1999

  カエルの不思議発見:「四六のガマ」の科学

  ブルーバックスB-1255,講談社,東京。

  ISBN 4-06-257255-9

  173pp.  \800+税

  世界のカエル、日本のカエルの面白い習性が、豊富なイラストと共に紹介され

  ています。最終章には、カエルの仲間たちとしてアシナシイモリやサンショウ

  ウオ、イモリの紹介もあります。日本産両生類リスト付き。

  親しみやすい文章で書かれているので、中学生以上の人におすすめします。で

  きれば、カエルのカラー写真も見たいですね。



○長谷川眞理子  1999

  進化とはなんだろうか

  岩波ジュニア新書323,岩波書店,東京。

  ISBN 4-00-500323-0

  213pp.  \740+税

  適応と自然淘汰(自然選択)を中心にまとめられた進化生物学の入門書です。

  わかりやすく書かれていますが、DNAの解説のあたりはもう少し工夫が欲し

  いと思いました。中学生が理解するのはちょっと難しいように思います。高校

  生以上向けですが、進化の基本を学びたい生物を専門としない大学生や一般の

  人の入門書として適していると思います。なお、地球の誕生が45億年前となっ

  ているなど、一部に古い数値が使われていたのが少し気になりました。



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■新刊予告

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○むさしの里山研究会(編)

  里山のトンボ

  \2,800

  16人のトンボ写真愛好家が、むさしの里山研究会のメンバーとして立ち上がり、

  総合的な里山環境を守るための事業の一貫として、今回のトンボ写真集出版が

  企画されました。メンバーの多くは毎年集まってスライド上映会を催しており、

  毎年数々のスライドを披露しあっているそうです。そのスライドの中から厳選

  されたおよそ100点にも及ぶすばらしい写真が満載のカラー写真集だそうです。

  一般書店では販売されない予定なので、入手を希望される方は

      寄居町にトンボ公園を作る会のホームページ

      http://www.c-5.ne.jp/~yori-tnb/

  の、会報のページをご参照の上、そちらに直接お申し込み下さい。

  なお、上記ホームページにはまだ案内が出ていないようですので、メールで問

  いあわせてみてください。



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■くりえいとPEN:更新情報

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○くりえいとPEN  http://www2h.biglobe.ne.jp/~pen/

  チョウや昆虫、写真などの総合情報ページです。



○今日のひとこと  http://www2h.biglobe.ne.jp/~pen/hitokoto000.htm

  その時々に体験したこと、思ったこと、お知らせなどを不定期に紹介していま

  す。

  

○アサギマダラ情報

  各地でアサギマダラが見られるようになり、産卵も観察されています。

  私もようやく初マーク  (^^)v

                        http://www2h.biglobe.ne.jp/~pen/asagi-net000.htm



○お勧めの本のページ  http://japan-inter.net/book/

  Nature Newsで紹介した本を中心に、★★★以上の本を紹介します。



○津軽昆虫同好会の紹介ページ。津昆関連の本の紹介ページもできました。

                                  http://japan-inter.net/insect/tsu-kon/



○ホームページの設置サービスを始めました。無料サービスもあります。

                               http://japan-inter.net/information000.htm



○子ども向けの質問コーナー「質問ひろば」    http://japan-inter.net/kids/

  ネーチャー関連の質問ができます。大人も利用できますよ。



                    >>>>>>>>>>>>見・に・来・て・ね   (^^)/



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■お知らせ

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○情報提供・ご投稿をお待ちしています。

  Nature News では、読者のみなさまからの情報提供やご投稿をお待ちしていま

す。ネイチャー関連の情報なら何でもOK・・・季節の生き物情報や新刊・CD

・パソコンソフト・ビデオの情報(宣伝)、素敵なネーチャー関連グッズの紹介

(宣伝)、ネーチャー関連のホームページの紹介(宣伝)、自然や環境について

のご意見など、何でもお寄せ下さい。

  なお、写真(画像)や音声も紹介されたい場合は、ホームページの方でご紹介

することも可能です。

  ただし、営業行為に該当するものは、ホームページへの掲載が有料となる場合

もありますので、ご相談ください。



○Nature News に掲載されている情報のご利用は、利用者の責任でお願いします。

  Nature News に掲載された情報を利用された結果、何らかの損害を被られても、

  くりえいとPENでは責任はとりませんので、予めご承知おき下さい。



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*                     ◇◇  広告募集中!!  ◇◇                         *

*        お問い合わせは ad@japan-inter.net までどうぞ。                *

*        広告について詳しくは、                                        *

*            http://japan-inter.net/nature-news/ad-mail.htm            *

*        をご覧ください。                                              *

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■編集後記

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○ 6月19日は、大阪府能勢町の三草山で日本鱗翅学会会員によるゼフィルスの生

  息状況調査が行われる予定でしたが、雨のため今度の日曜日(27日)に延期に

  なりました。でも、今度の週末もあまり天気が良くなさそうなので、行えるか

  どうか微妙なところです。



○ 6月20日は、兵庫県小野市〜加西市方面へヒメヒカゲという蝶を探しに行きま

  した。残念ながら、ヒメヒカゲは見かけませんでしたが、アカシジミやミドリ

  シジミ、ウラギンスジヒョウモンなどを見ることができました。

  

○今年に入ってヒグマやツキノワグマに襲われる事故が目立ちます。広島県千代

  田町でもこのところ、ツキノワグマとの遭遇事件が頻発しているとか。人的被

  害が出る前に、山に帰ってくれたらいいのですが。。。



○宮古島でリュウキュウキンバトの繁殖が確認されたそうですね。宮古島には昆

  虫をやっている人もあまり行きませんが、他にも面白いものが見つかる可能性

  がありそうですね。



○今週に入って雨が強く降るようになりました。梅雨末期はしばしば局所的な集

  中豪雨に見舞われます。危ないかな。。。と思ったら早めに避難して、被害に

  あわないよう、十分お気をつけください。



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=  電子メールマガジン  Nature News No.20 (1999/06/25  発行)          =

=  発  行:くりえいとPEN  http://www2h.biglobe.ne.jp/~pen/          =

=  編  集:藤井  恒(Hisashi FUJII)                                   =

=                                                                      =

=   記事の転載を希望される場合は、下記までメールでお問い合せください。 =

=         お問い合せは  メールで  info@japan-inter.net   まで。        =

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