活動内容
1.チョウや自然の現状を調べ、解決策を考え、実行する。
2.人々にチョウや自然の現状を伝える。
3.チョウや自然を守るために、さまざまなアドバイスをする。
1.チョウや自然の現状を調べ、解決策を考え、実行する。
<活動事例紹介 > ヒョウモンモドキ Melitaea scotosia (広島県)
現在では広島県のみに生息するヒョウモンモドキ
絶滅の恐れのもっとも高いチョウのひとつであるヒョウモンモドキ。 このチョウは現在広島県のごく一部でしか見ることができません。
わたしたちは、このチョウの現状調査や、地元の保全団体である「ヒョウモンモドキ保護の会」と協力して、保全活動を進めています
ヒョウモンモドキは小規模な湿地にすむチョウで、現在は、天然の湿地や放棄された田んぼで湿地になっているところにすんでいます。
ヒョウモンモドキが生息する天然の湿地 放棄された田んぼ(放棄田・休耕田)の生息地
こうした湿地が乾燥化したり、開発されることにより、ヒョウモンモドキの数が減少してきました。 こうした状況はいまでも続いており、ヒョウモンモドキの生息状況はますます厳しくなっています。
現在の活動内容は、チョウに関心を持ってもらうための観察会や、生息地の環境を改善するための管理作業です。 これまでの管理作業によって、いくつかの場所で、ヒョウモンモドキの生息状況が確実に改善されています。
しかし、管理作業を行う場所は人的・資金的な制約があり、なかなか十分には活動ができない状況です。こうした活動をもっと積極的にできる体制を作ることが課題となっています。
観察会の様子 管理作業の様子
<現在進行中の主なチョウおよび昆虫類の 調査 ・ 保全 プロジェクト>
その他にもさまざまな種を対象に保全活動を実施しています。
象種 | 対象地域 | 調査・保全内容 |
ヒメチャマダラセセリ | 北海道アポイ岳周辺 | 生息状況の調査 各種保全に関する提言 生息地管理の実施 |
チャマダラセセリ | 岩手県・福島県・茨城県 | 生息状況の調査 各種保全に関する提言 生息地管理の実施 |
オガサワラシジミ | 東京都小笠原諸島 | 生息状況の調査 各種保全に関する提言 |
タイワンツバメシジミ | 長崎県 | 各種保全に関する提言 |
ウスイロヒョウモンモドキ | 兵庫県、岡山県、鳥取県 | 生息状況の調査 地域保全団体への協力 |
ヒョウモンモドキ | 広島県世羅・賀茂台地 | 生息状況の調査 放チョウによる再導入 各種保全の提言 生息地の環境維持・復元 地域保全団体への協力 |
ミヤマシロチョウ | 群馬県・長野県 | 生息状況の調査 各種保全に関する提言 地域保全団体への協力 |
ゴマシジミ | 山梨県 | 生息状況の調査 生息地の環境維持・復元 |
ツシマウラボシシジミ | 長崎県対馬市 | 生息状況の調査 各種保全に関する提言 生息地の環境維持・復元 生息域外保全の実施 |
アサマシジミ | 北海道 | 生息状況の調査 各種保全に関する提言 生息地の環境維持・復元 |
ギフチョウ | 京都府 | 生息状況の調査 生息地の環境維持・復元 |
アカハネバッタ | 山形県 | 生息状況の調査 生息地の環境維持・復元 |
フサヒゲルリカミキリ | 岡山県 | 生息状況の調査 生息地の環境維持・復元 |
< 会誌での活動紹介>
ヒメチャマダラセセリ→ 2012年14号 2014年18号 2020年29号
ツシマウラボシシジミ→ 2013年17号 2014年18号 2015年20号 2016年22号 2017年25号
ヒョウモンモドキ→ 2011年13号 2017年24号
ウスイロヒョウモンモドキ→ 2016年23号
ゴマシジミ→ 2016年22号
オオムラサキ→ 2013年16号
オガサワラシジミ→ 2012年15号
チャマダラセセリ→ 2012年14号
アカハネバッタ→ 2017年25号
2.人々にチョウや自然の現状を伝える。
講演会の様子
みなさんに、チョウの現状を広く知ってもらったり、チョウと親しんでもらうために、展示会の開催、出版物の発行などをしています。
また、チョウを守ることについての関心を持ってもらうために、年に1度、全国各地でシンポジウムを開催しています。
チョウを守る活動が行われてきた場所を開催地とし、今後、チョウをシンボルに自然環境を守っていくためにはどうすべきかを考えていきます。 (開催地を全国で募集しているので、ご検討いただける際には事務局までご連絡下さい。)
<過去のシンポジウム開催地>
2007年1月 ギフチョウ・ヒメギフチョウ保全シンポジウム 岐阜県岐阜市
2008年2月 チョウ類保全シンポジウム-ギフチョウ・ヒメギフチョウ-群馬県渋川市
2008年5月 第3回全国チョウ類保全シンポジウム 山形県鮭川村
2009年12月 第4回全国チョウ類保全シンポジウム-オオムラサキ-埼玉県嵐山市
2011年1月 第5回全国チョウ類保全シンポジウム-ギフチョウ-奈良県御所市
2012年3月 第6回全国チョウ類保全シンポジウム 愛媛県松山市
(各シンポジウムの詳細はこちら)
<展示会>
チョウの保全について関心を持ってもらうためのミニイベントとして、ビジターセンター、博物館、公民館等でのミニ展示会を行っています。今後も各地で開催する予定です。
なお、展示のポスターを貸し出しています(有償。ただし、チョウ類の団体等が実施する場合は無償の場合あり)。
(ご利用を希望する方は、事務局までご連絡下さい。)
<出版物>
チョウやその保全に関するパンフレットを発行しています。
詳しくは「出版物案内こちら」を見てください。
3.チョウや自然を守るために、さまざまなアドバイスをする。
効果的なチョウ類保全のためには、行政等の取り組みや各種開発などに提言をする必要があります。わたしたちは、さまざまなところでチョウ類保全に関するアドバイスをしています。
<2006.5 自然公園法改正にともなう「指定動物」についての提言>
環境省の指定動物保護対策検討会に出席し、自然公園におけるチョウ類の現状や 保全に関する報告を行ったり、指定動物に入れるべきチョウの種類を考え、その案を伝えました。
今回のチョウ類の指定は、わたしたちの案を十分にふまえて選定していただきました。