Web写真展 2020
テーマ 「絶滅が危惧されるチョウ」
アズチグモに捕らわれたウラナミジャノメ 撮影:松井慶夫
美しいオミナエシの花に潜んでいたアズチグモに捕まったウラナミジャノメ。
この後無事脱出して飛び去りました。撮影時はクモに気付いていませんでしたが、帰宅してパソコンで見て、クモを見つけて驚きました。1週間後再訪した時には、アズチグモは見つかりませんでした。
撮影場所:愛知県 9月
黄蝶二種四様 撮影:高崎 明
写真中央、二頭のツマグロキチョウは、関東地方では栃木県の一部を除くと個体数が少なく絶滅が危惧されるチョウです。この秋型は、裏翅は淡い地色に複数の黒い線が入り、対して表翅は黄色と黒色の模様が鮮やかで、意匠的にも素敵です。また秋型は、成虫で越冬します。写真両端のキタキチョウは、関東地方各地に生息しています。個体数が多いので、地味なイメージのチョウです。但し、雄の表翅の黄色の輝きは素晴らしく、その美しさはツマグロキチョウに遜色ありません。秋型は同じく成虫越冬するものの、私の節穴のような眼では探すのは難しいです。
撮影場所:長野県 5月
青く光るクロシジミのオス 撮影:渡邊通人
個体数は少ないが時々クロシジミが観察される里山で、今年はオスが2頭で追いかけているのが見られ、ひょっとして近くへ止まるかと期待して近づいたら、タイミング良く止まって翅を広げてくれた。ススキの上だったので下から見る格好となってしまったが、後にも先にも近くに止まったのは、この日のこの一瞬だけだった。
カメラはOlympus OMD-EM1MarkⅡ、レンズはM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm 1:4 IS PROを主に使っているが、デジタルテレコン機能と合わせて35mm換算で400mm相当まで望遠がきくので、ほとんどこの組み合わせで撮影出来るのが有難い。特にオリンパスは青がきれいに出るのも、好んで使っている理由でもある。
撮影場所:山梨県 7月
クモマツマキチョウカップル飛翔 撮影:林清弘
いつもは多くの愛好家が楽しんでいるポイントですが、今年はコロナ禍で少なく、2~3人がチョウにレンズを向けていました。
念願の食草ミヤマハタザオでの吸蜜を撮りたくて待っていましたら、カップルが撮れてラッキーでした。
撮影場所:長野県 5月
結ばれた「コヒョウモンモドキ」 撮影:成沢和昭
アサギマダラの姿を写そうと、夏の高原に出かけました。
そこで吸蜜する「コヒョウモンモドキ」の姿がありました。
数日後、交尾の姿が.... 雌雄が一つに写せるとは、ラッキーでした。
撮影場所:長野県
孤高のクロシジミ 撮影:猪越俊久
このチョウに初めて出会ったのは、父の生家(群馬)へ遊びに行った時である。
家の裏にあるクヌギ林に行くと其処ここに黒いチョウが翔んでいて、後にクロシジミと知った。半世紀前の光景である。
現在では絶滅に近い種に分類されているのは、人による環境破壊によるところも大きいが、蟻に生涯の一時期を頼る特殊な生態によるところも大きい。
そのようなチョウが、目立つと思われる白い花の中で一生懸命吸蜜をしている。無事に世代が繋がることを祈らずにはいられない。
撮影場所:長野県 7月
今年も出逢えたクロヒカゲモドキ 撮影:三輪成雄
主な棲息地である里山の雑木林と共に減少の傾向にあるクロヒカゲモドキ。
梅雨空のなか、今年も出逢えた。
地味なチョウだが、前翅裏面の3つ以上の眼状紋を見ると私の胸は大いにときめく。
撮影場所:大阪府 7月
アポイアズマギクで吸蜜する ヒメチャマダラセセリ 撮影:中村康弘
初めてヒメチャマダラセセリと会ったのが2011年。1時間ほど登ると、カンラン岩によって生まれた高山植生が現れる。とても小さく、最初はなかなか見つからなかったが、慣れるとアポイアズマギクで吸蜜する個体や地面で吸水している個体を観察できた。
その後、毎年、生息状況のモニタリング調査を続けているが、急激に減少し、もっとも絶滅の危機にあるチョウとなってしまった。重点的な保全を実施し、個体数を回復させていきたい。
撮影場所:北海道 5月
テーマ 「花とチョウ」
ミヤマカラスアゲハとクリンソウ 撮影:浅見哲司
オスに引けを取らないくらいミヤマカラスアゲハのメスは美しい。一方で、いざ撮影しようと思ってもチャンスはなかなか訪れないのである。このショットは昨年撮影したもので、クリンソウの撮影をしていたら思いがけず吸蜜に訪れたものである。
味をしめ今年は同地に何回か通ってみたが、クリンソウは美しく咲くもののミヤマカラスアゲハは一度も見ることは無かった。
2匹目のドジョウはなかなか現れてくれないようである。
撮影場所:京都府 5月
アヤメのベッドで一休みの ヒメキマダラセセリ 撮影:福島孝好
乙女高原は、小楢山の登山口の焼山峠から歩いて30分ほどにある標高1,700mの美しい高原です。夏にはアサギマダラ、クジャクチョウ、ヒョウモンチョウ類が花々の中を飛び回っています。今年訪れた時にはまだ花もチョウも少なかったのですが、草原を散策中に、アヤメの花びらをまるでベッドのようにして休んでいるヒメキマダラセセリに出会いました。
セセリチョウ類はずんぐりむっくりの体型から、概して美しいチョウというイメージからはやや離れた感じはありますが、ファインダー越しに大きな愛くるしい目で見つめられると、ついついシャッターを押してしまいます。
撮影場所:山梨県 6月
煌めく彼岸花とナガサキアゲハ 撮影:二階堂史朗
高尾近郊の小川、9月末に彼岸花が満開になりました。彼岸花が咲くバックの川面が、キラキラ輝いて玉ボケになっています。
ここへ黒系アゲハが来ないものかと暫く待つと、ナガサキアゲハが一番高い彼岸花の上で翅をいっぱいに開いた姿をみせてくれました。
近年高尾近郊でナガサキアゲハに出会うことが多くなり、温暖化が目に見えるようになりました。
撮影場所:東京都 9月
テーマ 「身近なチョウ」
キタキチョウの交尾 撮影:松下省三郎
自宅の周辺にはネムノキの大木が数本あり、その種子が落ち若木が自然繁殖しています。この葉っぱにキタキチョウが卵を産み付け、幼虫⇨蛹⇨羽化していきます。一本の若木から5~7匹程の羽化がみられることがあります。越冬したキタキチョウは新緑の頃から夏にかけて、またネムノキで育ち、この周辺で交尾します。その交尾をカメラで捉えることができた一枚です。交尾中のキタキチョウの表情が何とも言えません。
撮影場所:静岡県 6月
自由テーマ
色鮮やかなウラナミアカシジミの開翅
撮影:板野隆
雨上がりの暗い林床を歩いていると、ほんの一瞬、鮮やかなオレンジ色が輝くのが見えました。飛翔以外では滅多に翅を開かないウラナミアカシジミ。ところが、なぜかこの個体は数十秒間隔でパッと一瞬だけ翅を開くことを繰り返していました。この千載一遇のチャンスを逃すまいとタイミングを見計らってひたすら連射した結果、何枚か翅表を写しとめることができました。
撮影場所:大阪府 6月
ウラミスジシジミの蛹化前の幼虫 撮影:高澤晋介
15時26分撮影。蛹化前で、黄緑色から深緑色になった幼虫は、蛹化場所に適した食樹のクヌギの樹皮に潜り込もうとする。お気に入りの場所が見付かるまで、何度も繰り返していた。これだから蛹の発見難易度は高い。10年定点観察を続けて、蛹を見つけたのは2回だけだ。
撮影場所:栃木県 5月
電車ごっこ 撮影:服部裕子
毎年、我が家の柚子の木で生まれるアゲハの子供たち。柚子の木が若いので、子供たちが蛹になるために姿を消すころには、木はいつも丸坊主になっている。今年は特にアゲハの飛来が多く、ミカン、ポンカン、サンショウの苗木を買い足したが、やっぱりすべて丸坊主にされた。いくら見ていても飽きないかわいい子たちである。
撮影場所:茨城県 5月
シジミチョウ達が編んだレース模様 撮影:佐々木幹夫
シジミチョウの卵は拡大してみると、とても複雑な模様が観察できます。1mmに満たない卵の表面に、まるでミクロの彫刻師が卵の上に舞い降りて彫ったのか?と錯覚してしまう位、精緻な構造です。ヒメシジミ族の卵はいずれもレース模様のような綺麗な網目構造が特徴です。別種でありながら、どうしてこんなに似ているのだろう・・・と驚いてしまいます。通常のマクロレンズでは撮影が困難なため、特殊なレンズ系を用い、数十枚ピントをずらして撮影し、コンピューター上で合成して、微構造を明らかにしました。
撮影場所:神奈川県ほか 9-11月
ウラクロシジミの一休み 撮影:橋爪善博
大きな渓谷の彼方に太陽の光を受けて真珠色に輝く斑点がチラチラと舞っていた。その一つが突然目の前に飛び込むと下藪に隠れた。ウラクロシジミのオスだった。翅摺りで時折垣間見せる翅表が青白く輝いていた。占有行動時間である夕刻には激しく飛廻るだけのこの蝶が、ゆったりと佇んでいる姿を眼前で観ることができたのは、初夏昼前の嬉しいひとときであった。
撮影場所:滋賀県 6月
アカボシゴマダラ黒化型「この指とまれ」
撮影:神谷孝信
主にチョウを指に留めて、背景を考慮して移動して撮った写真を「この指とまれ」写真と称して撮っている者です。自宅近くの公園で、見慣れないチョウを見つけ、指に留め、お気に入りの日本庭園にまで移動して、撮ったものです。 撮影後アカボシゴマダラの黒化型と判明した為、珍しい記念写真として宝物にしている写真の一枚です。
撮影場所:千葉県 8月