野生生物の撮影地について

鳥や昆虫など、野生生物の撮影地や採集地などについて
質問のメールなどをいただくことがあるので、
私の基本的な考え方を書いておきます。

本来なら、生息地や生息状況の資料となるので、
撮影地や撮影日などのデータは公開するのが望ましい
というのが、以前の私の考えでした。

しかしながら、インターネットの普及により、
情報がすぐに伝わるようになり、
また交通網の整備によって、
離れた場所や以前は行きにくかった場所にも
簡単にアプローチすることができるようになりました。

その結果、人気があったり、珍しい野生生物が見つかった
という情報が流れると、あっという間に情報が広まって、
その場所に多くの車や人が集まるようになってしまいました。

野生生物の生息地に一度に多くの人が集まることは、
その野生生物の生活にとって好ましいこととはいえず、
また、その地域で生活している方々のご迷惑なることも
現実問題として起こっています。

そのため、すでに多くの人に知られているような場合を除き、
このブログでは原則として都道府県名までを
記載するようにしています。

また、掲載する時期も撮影直後のものだけでなく、
以前の写真などを掲載することも多くありますので、
ご了承ください。

その野生生物がいる場所をピンポイントで教えてもらうよりも、
その野生生物の習性なども考えながら、
是非、ご自分で探してみてください。

人に教えてもらうのとは、別の面白さに気づくはずです。

ソリハシセイタカシギ

ソリハシセイタカシギは稀な旅鳥または冬鳥とされていますが、
今シーズンはあちこちで飛来が確認されていて、
近畿地方でも滋賀県・兵庫県・和歌山県で見つかっています。

私も出会いたいと思いつつ、
野鳥は自分で見つけるようにしているのと、
自分で探しに行けるのが遅くなってしまったこともあり、
出会うことができないでいましたが、
三重県の海岸でようやく見つけることができました。

ソリハシセイタカシギ@三重県 撮影:藤井 恒

かなり遠くにいましたので、肉眼では白い点にしか見えませんでしたが、
遠くに3羽いるのを見つけて、証拠写真を撮影した後、
もう少し近くから見える場所へ移動してみました(下の写真)。

ソリハシセイタカシギとカモ類@三重県 撮影:藤井 恒

それでも距離がかなりあるのと、
この位置からだと3羽の配置が悪かったため、
非常に遠くなりますが、
元の場所に戻って見守ることにしました。

しかし、3羽ともほとんど寝ていて動きがないので、
他の鳥の撮影をしつつ、見守っていましたが、
夕方近くになって、ようやく羽繕いを始め、
水に入って餌も探し始めました。

ソリハシセイタカシギ@三重県 撮影:藤井 恒

そこで、動画撮影をしながら様子を見ていると、
羽を広げたりし始めました。

ソリハシセイタカシギ@三重県 撮影:藤井 恒

これは飛びそうだなと思い、カメラに手をかけた直後、
3羽が一斉に飛び立ちました。

ソリハシセイタカシギの飛翔@三重県 撮影:藤井 恒

動画撮影しかできなかったため、
飛翔写真は動画から切り出したものです。
そのため、画像が流れていますが、
途中までなんとか追い撮りができました。

少し飛んですぐに降りると思っていましたが、
そのまま飛び去ってしまったため、
鮮明な写真を撮影することは叶いませんでしたが、
それはまたの機会の楽しみとしたいと思います。

オジロワシ

オジロワシの主な越冬地は北日本ですが、
西日本でも少数の個体が越冬するとされています。

今シーズンは兵庫県の瀬戸内側でも
観察されているので、気にしながら撮影していたところ、
幸運にも狩りをするところを撮影することができました。

またミサゴかなと思いながら、
遠くを飛ぶ猛禽をカメラで確認すると
オジロワシではありませんか!

飛翔するオジロワシ@兵庫県 撮影:藤井 恒

しばらくすると急降下…

急降下するオジロワシ@兵庫県 撮影:藤井 恒

狙いを定めで魚をゲット!

魚を捕らえたオジロワシ@兵庫県 撮影:藤井 恒
魚を捕らえて飛び上がるオジロワシ@兵庫県 撮影:藤井 恒
魚をつかんで飛ぶオジロワシ@兵庫県 撮影:藤井 恒

魚をつかんで上昇すると、ミサゴが魚を奪いにやってきました。

獲物の横取りをしようとするミサゴ(右上)とオジロワシ@兵庫県 撮影:藤井 恒

ミサゴとオジロワシのバトルがしばらく続きましたが、

ミサゴとオジロワシのバトル@兵庫県 撮影:藤井 恒

上の写真でわかるように、オジロワシの方がかなり大きいこともあり、
結局ミサゴは諦めで飛び去りました。

魚を運ぶオジロワシ@兵庫県 撮影:藤井 恒

このオジロワシの行き先は確認できませんでしたが、
少しはなれた山の方にねぐらがあるはずです。

オジロワシが先に観察されている地域とは
かなり離れた場所なので、
別の個体だと思います。

丁寧に探せば、他の場所でも越冬しているオジロワシを
見つけることができるかもしれませんね。

クロツラヘラサギ

クロツラヘラサギは東アジアに生息する絶滅危惧種ですが、
保護活動によって、5000羽程度まで回復しているようです。

餌を探すクロツラヘラサギ@佐賀県 撮影:藤井 恒

日本には主に冬鳥として飛来し、
500羽くらいが九州などで越冬します。
ここで紹介する写真も佐賀県の干潟で撮影したものですが、
今シーズンは関西でも何羽か越冬しているようです。

木の枝を運ぶクロツラヘラサギ@佐賀県 撮影:藤井 恒

撮影した時期が3月だったこともあってか、
求愛行動のようなこともしており、
上の写真のように木の枝をくわえて
他の個体の方へ持って行ったり、
下の写真のようにくちばしをお互いにぶつけたり
する行動も観察されました。

くちばしをぶつけ合うクロツラヘラサギ@佐賀県 撮影:藤井 恒

動画もあるので、またどこかでお目にかけたいと思います。

クロツラヘラサギの飛翔@佐賀県 撮影:藤井 恒

上は飛翔の写真ですが、クロツラヘラサギはトキ科に分類されることもあり、
真横から見た姿は、トキに似ているように思います。

下の写真は別の角度から撮ったものですが、
前方から見るとくちばしの形が特徴的なので、
この角度だとトキとは全く違う鳥に見えますね。

クロツラヘラサギの飛翔@佐賀県 撮影:藤井 恒
着地寸前のクロツラヘラサギ@佐賀県 撮影:藤井 恒

この日は20羽以上が近くにいてくれたので、
ゆっくり観察と撮影をすることができました。

なお、下の写真はよく似たヘラサギです。

目の周りがヘラサギでは白いのに対し
クロツラヘラサギでは目の付近まで黒く
なっていることがわかるかと思います。

ヘラサギ@大阪府 撮影:藤井 恒

湖北の夕景

オオワシのねぐら入りを撮影すると
ちょうど日の入りが近づいてきたので
湖岸へ移動して少し撮影しました。

沈む夕陽@琵琶湖 撮影:藤井 恒

ここは竹生島と夕陽を一緒に撮影できる
有名な撮影スポットなので、
この日もたくさんの人が撮影していました。

私も以前は、中判や大判カメラをもって来て
撮影をしたものですが、最近はデジタル一眼で
ささっと撮影して終わり。

水鳥と共に@琵琶湖 撮影:藤井 恒

この日はハクチョウは少なかったのですが、
せっかくなのでハクチョウやヒシクイも
入れて撮影したのが上の写真です。

ハクチョウの群れは飛んでくれませんでしたが、
ヒシクイが飛んでくれたので急いで撮影しました。

トビのいる風景@琵琶湖 撮影:藤井 恒

日の入り後も、手前のヨシやヤナギの木などを
入れて撮影していたら、トビが飛んで来て止まってくれました。

トビのいる風景@琵琶湖 撮影:藤井 恒

トビが止まった樹のシルエットと
夕焼けの赤と山と水の青、湖面に映って夕焼けが
綺麗なグラデーションを作ってくれました。

湖北のオオワシ

湖北のオオワシに新年のご挨拶をしに出かけました。

カキカキするオオワシ@滋賀県 撮影:藤井 恒

先に他で撮影して、午後になってから到着しましたが、
朝、この木に止まってから飛んでいないようでした。
上の写真は脚の爪でくちばしをカキカキしているところですが、
羽繕いを盛んにやっていて、なかなか飛びそうにありませんでした。

羽繕いするオオワシ@滋賀県 撮影:藤井 恒

私は上空を飛んだオオタカとか、近くを飛んだノスリとか、
下の方にいたケリやセキレイなども撮影しながら様子を見ていると
オオワシがいきなり飛び出しました。

今日は飛翔の動画が撮れたらいいなぁと思って来ていましたが、
うまくフレームに入れることができず、失敗。

オオワシは遠くには飛ばず、湖面に近い松の木に止まりました。
餌を捕りに行くのではと期待しましたが、
ここでも羽繕いに忙しく、なかなか飛んでくれません。

オオワシが飛んでくれないので、
トビの飛翔の動画など撮影していると、
トビがいきなり急降下………

餌を見つけたんだとばかり思ったら、
そこにはオオワシが!

オオワシも飛ぶかと思いましたが、
翼を広げて、大きな声を上げてトビを威嚇しました。

動画はトビを撮影していたので、オオワシは最後に一瞬、
映っているだけなので、ここにはアップしませんが、
その直後に撮影したのが、下の写真です。

トビを威嚇するオオワシ@滋賀県 撮影:藤井 恒

写真の右手から左手へ飛んできたトビに向かって
オオワシが声を上げて威嚇しているのがわかると思います。

オオワシはその後、また羽繕いなど始めて、
糞をしたり、下の写真のように翼を広げて乾かしました。

背中を向け、翼を広げたオオワシ@滋賀県 撮影:藤井 恒

そして、飛行体制に入って、下の写真のポーズの後で、
一気にねぐらに向かって飛んでいきました。

オオワシ@滋賀県 撮影:藤井 恒

ねぐらに向かって飛んでいく様子は動画でなんとか撮影できました。

手持ち撮影になってしまいましたが、
なんとか見れる動画が撮影できた気がします。

ナベコウ

ナベコウは、日本には稀に飛来するコウノトリの仲間ですが、
今シーズンは和歌山県に飛来しているので、
ちょっと撮影してきました。

ナベコウ@和歌山県 撮影:藤井 恒

上の写真は至近距離で撮影したため、
ずいぶん大きく見えますが、
コウノトリよりもやや小さな鳥です。

ナベコウ@和歌山県 撮影:藤井 恒

遠目には黒い鳥に見えますが、くちばしや脚はオレンジ色で
腹面は白い鳥です。上の写真では首の後ろの辺りが
綠色や紫色に光って見えますが、
光がうまく当たると下のように、もう少し綺麗に見えます。

ナベコウ@和歌山県 撮影:藤井 恒

しばらくここで餌を探していましたが、
他の鳥が飛び立ったのに驚いて
ナベコウも飛んで他の場所へ行ってしまいましたが、
おかげで飛翔の撮影もできました。

飛び立ったナベコウ@和歌山県 撮影:藤井 恒
ナベコウの飛翔@和歌山県 撮影:藤井 恒

明けましておめでとうございます。

2022年、明けましておめでとうございます。

昨年もコロナ禍でいろいろ大変な1年でした。
今年もまだ心配ではありますが、
ワクチン接種と基本的な感染予防対策を続けていけば
克服できると信じています。

上の写真は、私が大好きな京都・仁和寺の御室桜です。
御室桜はサトザクラで花びらは白いのですが、
サクラはピンク色と信じているデザイナーが
JR東海のポスターの御室桜をピンク色にしてしまったことがあります。

御室桜はソメイヨシノより開花が遅く、
例年、4月15日頃に満開になりますので、
コロナが収まっていたら、是非、お出かけください。