野生生物の撮影地について

鳥や昆虫など、野生生物の撮影地や採集地などについて
質問のメールなどをいただくことがあるので、
私の基本的な考え方を書いておきます。

本来なら、生息地や生息状況の資料となるので、
撮影地や撮影日などのデータは公開するのが望ましい
というのが、以前の私の考えでした。

しかしながら、インターネットの普及により、
情報がすぐに伝わるようになり、
また交通網の整備によって、
離れた場所や以前は行きにくかった場所にも
簡単にアプローチすることができるようになりました。

その結果、人気があったり、珍しい野生生物が見つかった
という情報が流れると、あっという間に情報が広まって、
その場所に多くの車や人が集まるようになってしまいました。

野生生物の生息地に一度に多くの人が集まることは、
その野生生物の生活にとって好ましいこととはいえず、
また、その地域で生活している方々のご迷惑なることも
現実問題として起こっています。

そのため、すでに多くの人に知られているような場合を除き、
このブログでは原則として都道府県名までを
記載するようにしています。

また、掲載する時期も撮影直後のものだけでなく、
以前の写真などを掲載することも多くありますので、
ご了承ください。

その野生生物がいる場所をピンポイントで教えてもらうよりも、
その野生生物の習性なども考えながら、
是非、ご自分で探してみてください。

人に教えてもらうのとは、別の面白さに気づくはずです。

ナベヅルの北帰

三重県で越冬していたナベヅルたちですが、
その後も数回、様子を見に行きました。

採餌するナベヅルたち@三重県 撮影:藤井 恒

ナベヅルたちは、餌場を時々変えていたようですが、
私が確認できた餌場はねぐらから直線距離で15kmほど離れた場所でした。

餌を食べるナベヅル@三重県 撮影:藤井 恒


私が見に行っていた時は、
毎日、朝にねぐらを飛び出して餌場へ移動し、
夕方ねぐらに戻って来ているようでしたが、
ねぐらに戻ってくる時間は日によって多少違っていたようです。

餌場を少し移動するナベヅル@三重県 撮影:藤井 恒

餌を食べている時も、少しずつ移動はしますが、
その時は歩いて移動するか、上の写真のように少しだけ飛んで
移動していました。


写真にはツルがかなり大きく写っていますが、離れた場所から超望遠レンズで撮影し、
更にトリミングをしているため、画質はあまりよくありません。

夕方ねぐらに戻って来て休むナベヅル@三重県 撮影:藤井 恒

上の写真は、3月10日の夕方、ねぐらに戻って来たナベヅルたちです。
この日は、もうツルたちは北へ帰った可能性が高いと思っていて、
他の鳥の撮影などしていたのですが、ふっと目をやると上の写真のように
ナベヅルたちが並んでいて、「まだ帰ってなかったんだ!」と驚きました。

その後、3月15日にも様子を見に行きましたが、
その日はツルがねぐらに戻ってくるのを確認できませんでした。

事前に3月12日にはまだツルがいたこということはわかっていて、
現地で前日の3月14日にはツルが確認されているという話を聞いたので、
3月15日の朝、ナベヅルたちは北へ帰ったんだろうと思っていました。

ところが、3月17日の夕方撮影していると、
2羽のナベヅルが戻ってくるのが見えました(下の写真)。

北帰し遅れた(?)2羽のナベヅル@三重県 撮影:藤井 恒

その時は、この2羽が戻ってくるのが遅れただけで、
他の46羽のツルたちは先にねぐらに入っていて見えなかっただけかもしれない
あるいは、越冬していた48羽とは別のナベヅルかもしれない
と思っていました。

しかし、その後、46羽のツルが3月16日に北へ旅だったのに、
なぜか2羽だけ残ったということを知りました。

  https://mitumasa.net/su2_diary/su2_diary.cgi

ねぐらへ戻って来た上の写真の2羽が、そのナベヅルだったのでしょう。

この2羽がその後、どうなったのかわかりませんが、
さすがにもう北帰したのではないでしょうか?

ちなみに、四国の徳島県でも十数羽が越冬していたようですが、
これらのナベヅルも3月15日に北帰したと
徳島県に行った時に伺いました。

出水のツルたちもほとんど北帰したようです。

  https://www.city.kagoshima-izumi.lg.jp/cranepark/return_norths

今年は岡山県などでもナベヅルが越冬したそうで、
越冬地が分散される傾向にあるのは嬉しいことです。

次の秋も、ツルたちがあちこちで元気な姿を見せてくれることを
期待したいと思います。

豪雪地帯

今年の冬は日本海側の山で豪雪になっているようで、
出かける予定も延期していましたが、
少し落ち着いたので長野県/新潟県へ行ってきました。

宿泊はいつもの斑尾高原のペンションでしたが、
この付近は4mくらいの積雪になっていて、
除雪された道路には高い雪の壁ができていました。

新潟県と長野県の県境付近 

写真は出しませんが、ペンションなども屋根の雪下ろしは追いついておらず、
屋根の上には1m以上の雪が積もったままになっているところが
ほとんどで、人が常駐されていないところは家が雪で
埋もれたようになってしまっていたり、空き家になっているところでは
窓が割れていたり、建物が一部破損したりしていていました。

これは人家ではないですが、すごい雪で覆われていました 撮影:藤井 恒
道路にせり出している雪も、晴れると崩れ落ちそう 撮影:藤井 恒

この日も除雪作業が続けられていましたが、
これだけドカ雪が降るとここで生活している方々は
本当に大変だと思います。

もう降らなくていいですね。早く春がやって来ますように!

近所のタゲリ

自宅がある京都府南部では、ケリは比較的多く、
繁殖もしていて年中見られます。
一方、冬鳥としてやってくるタゲリは
あまり多くないように思いますが、
先日、タゲリの小さな群れに出会いました。

タゲリの飛翔@京都府 撮影:藤井 恒

タゲリは畑や堤防の法面で盛んに採餌していて、
私がそっと近づけば逃げることもなく、
近くで撮影させてくれました

タゲリ@京都府 撮影:藤井 恒

上の写真は正面方向から見たタゲリですが、
頭の上の冠毛が可愛いですね。

下の写真は横から見たタゲリで、
羽毛が綺麗な緑色になっていますが、
これは構造色なので、光の当たる方向によって
綠が強くなったり青っぽくなったり、
茶色や黒っぽく見えたりします。

タゲリ@京都府 撮影:藤井 恒

綺麗な鳥なので、うれしくなって撮影してしまう、
タゲリはそんな鳥ですが、興味がない人たちは、
存在にすら気づかず、通り過ぎて行ったり、
タゲリを驚かして飛ばしてしまいます。

こんな鳥がいることを知らずに通り過ぎるのは、
勿体ないと思うのは、私だけではないですよね?

雪の永平寺

雪が降った直後の永平寺(福井県)を訪れてみました。

永平寺@福井県 撮影:藤井 恒

雪が降りすぎると、道路が不通になったりして危険ですし、
かといって雪が降っていない日に行くと、
新雪が降った時の美しい情景にな出会えません。

永平寺@福井県 撮影:藤井 恒

そんな訳で、自分のスケジュールと天候がなかなか会わず、
行きたいと思ってから3年が経過してしまいましたが、
平日ということもあり、ゆったりとお参りさせていただくことができました。

永平寺@福井県 撮影:藤井 恒

永平寺の中からは、こんな感じで格子窓越しに見るしかない場所が
ほとんどですが、これはこれで趣があっていいと思います。

永平寺@福井県 撮影:藤井 恒

上の写真や下の写真は、この格子窓から、
外の風景を切り取ったものです。

永平寺@福井県 撮影:藤井 恒

数カ所だけ、直接、外を見ることができる場所もあり、
下の写真はそこから撮影したものです。

永平寺@福井県 撮影:藤井 恒

屋根から落ちてきた大量の雪が
軒下に積もっていることがわかります。

今日も北陸などでは大雪になっていますので、
こんな日は、おとなしく家にいるのが正解です。
屋根の雪が落ちる時に下にいると命を落とす危険がありますので、
くれぐれもお気をつけください。

アリスイ

このちょっと変わった姿をしているのはアリスイです。

アリスイ@京都府 撮影:藤井 恒

北海道や東北北部では夏に繁殖していて、それより南の地域にな冬鳥として飛来して越冬します。

アリスイ@京都府 撮影:藤井 恒

長い舌を使ってアリを吸い取るように食べることから
アリスイという和名がついているそうです。

アリスイ@京都府 撮影:藤井 恒

普通の小鳥と同じような止まり方をするキツツキの仲間
というのも面白いですね。

ハクガン

ハクガンは、以前、紹介したシジュウカラガンと同様、
日本からほぼ絶滅状態になったガンの一種です。

ハクガンの成鳥(左)と若鳥(右)@新潟県 撮影:藤井 恒

シジュウカラガンと同じく、復元計画が立てられ、
1993年以降、その計画が実施されました。

その結果、最近になって日本へ渡ってくる
ハクガンの個体数も1000羽以上になっているのは
喜ばしいことです。

最近、本州でハクガンが確実に越冬しているのは秋田県と宮城県です。
新潟県にも群れで越冬することがありますが、
見られない年もあるということで、
昨秋に東北を訪れた際に宮城県行ってみようと考えていましたが、
天候と日程の兼ね合いで叶わず、新潟県でリベンジすることにしました。

ヒシクイと採餌するハクガン@新潟県 撮影:藤井 恒

当日は湿った雪が舞うあいにくの天候で視界も悪く、
ハクガンを見つけるのに少し手間取ってしまいましたが、
まず、マガンとヒシクイと一緒に採餌している
ハクガンの35羽ほどを見つけました。
その後、別の場所で200羽以上のハクガンが
ヒシクイと一緒に採餌している場所を見つけました。
上の写真は、その時の様子ですが、
ハクガンは雪の白と、ヒシクイは田んぼの色に同化しているので、
肉眼で遠くから見つけるのはかなり難しいと思います。

下の写真は、ハクガンだけが集まって採餌している様子ですが、
雪が降っていることもあり、肉眼ではほぼわかりませんでした。

雪に同化しているハクガンの群れ@新潟県 撮影:藤井 恒

ただ、飛ぶと特にハクガンは目立つので
飛んでくれれば肉眼でもそれとわかります。

雪が降る中で飛ぶハクガン@新潟県 撮影:藤井 恒

採餌している鳥の邪魔をしないように、
私は遠くからそっと撮影していますが、
ハヤブサやノスリなどの猛禽類が飛んで来たり、
近くを自動車などが通ったりすると、
驚いて一斉に飛び立つことがあります。

自動車に驚いて飛び立ったハクガン@新潟県 撮影:藤井 恒

上の写真は自動車に驚いて一斉に飛び立った直後のハクガン、
下の写真はその時に飛び立った200羽ほどのハクガンの写真ですが、
全個体は写っていません。

一歳に飛び立ったハクガンの群れ@新潟県 撮影:藤井 恒

そのままどこかへ飛び去ってしまうか、ねぐらに変えるかも
と思いましたが、元の田んぼに戻って来てくれました。

戻って来たハクガン@新潟県 撮影:藤井 恒

新潟県には350羽ほどのハクガンが飛来しているようですが、
その大半を観察、撮影することができたのではないかと思います。

帰りの雪が心配になって来たので、
ねぐら入りを見るのは諦めましたが、
たくさんのハクガンに出会えて幸せでした!

来シーズンもまた、たくさんやってきてくれますように!


分散できるかナベヅルの越冬地

ナベヅルは日本でいちばんたくさん見られるツルですが、
世界で生息しているナベヅルの8割以上が鹿児島県の出水平野で
越冬するとされており、今年も1万羽以上が確認されています。

出水平野にはマナヅルなど他のツルも多数飛来し、越冬しますが、
これだけ集まるようになったのは、長年にわたる保護活動のおかげです。

ただ一カ所にあまりに多くの個体が集まると、
鳥インフルエンザのような感染症によって、
一度に多くのツルが死ぬ危険性も指摘されていて、
他の地域でも越冬するようにできないかという試みも始められています。

ナベヅル@三重県 撮影:藤井 恒

今シーズンも高知県、島根県、岡山県、三重県、石川県などでかなりの個体が
観察されていたようです。

ねぐらに帰るナベヅル@三重県 撮影:藤井 恒

上の写真は三重県で越冬しているナベヅルの群れがねぐら入りするところです。
一部のツルが重なってしまっていますが、48羽一緒に行動しているようです。

毎朝、ねぐらを飛び立って、離れた場所にある水田で餌を食べ、
ねぐらに戻って来ているようです。

ナベヅル@三重県 撮影:藤井 恒

ねぐらとして利用されている場所は、
簡単に近づけない場所ですし、
餌場もそれなりに確保されているようなので、
来シーズン以降もこの地域で越冬してくれるように
なるといいですね。

ノスリとハイイロチュウヒ

京都府内でハイイロチュウヒがいそうな場所に行ってみました。

先に見つかったのはノスリで、カメラを向けてしばらく様子を見ていたら、
下の写真のように飛び出しました。

ノスリの飛び出し@京都府 撮影:藤井 恒

少し離れた木にももう1羽。

ノスリ@京都府 撮影:藤井 恒

白くて綺麗なノスリで、この木にずっと止まって獲物を探しているようでした。

カメラを向けていると、突然、飛び出しました。

飛び出したノスリ@京都府 撮影:藤井 恒

そのまま追い撮りをしていると、ファインダーにハイイロチュウヒが!

ハイイロチュウヒ@京都府 撮影:藤井 恒
ハイイロチュウヒ@京都府 撮影:藤井 恒

その後は、ハイイロチュウヒを追い撮り…

ハイイロチュウヒ@京都府 撮影:藤井 恒

最後はヨシ原の中に降りていったので、このあたりがねぐらになっているのでしょう。

ハイイロチュウヒ@京都府 撮影:藤井 恒

ハイイロチュウヒがいたらいいなーくらいで行ってみましたが、
みつけられてラッキーでした。

今シーズンはハイイロチュウヒに会えたのは6府県目。
運が良いだけかもしれませんが、
探せばあちこちにいるような気がします。

機会があれば、また他の場所でも探してみようと思います。

新型コロナウイルス感染症(Covid-19)

昨年末から予想されていたことですが、
新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の急激な感染拡大が続いています。

テレビでは、全部オミクロンであるかのような報道をしていて、
症状が軽いと強調していますが、実際にはデルタに感染している人もいますし、
オミクロンであっても、特にワクチンを接種していない人で、
重症化リスクが高い人にとっては危険な感染症であるということを忘れないで、
感染予防をしっかり続けたいものです。

春までに終息することを祈ります。